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ヤマドンガ (Yamadonga) 2007年 172分
主演 N.T.R(ナンダムリ・タラーカ・ラーマ・ラオ・ジュニア) & プリヤマニ & マムタ・モーハンダス
監督 S・S・ラージャマウリ
"死神ヤマよ、彼が許されざる罪を持つと言うなら、貴方こそが罪人ではないのか!?"






 ヴィシャーカパトナムにあるシンハチャラム寺院(獅子丘の意。人獅子ナラシンハを祀る)近郊に住む孤児のラージャは、ある日寺院に養父一族と参拝に来た少女マヒーシュワリ(通称マヒー)から、神様から授かったと言うメダルを親切の礼として受け取った。
 メダルが二束三文の値打ちしかないと知ったラージャはさっさと手放そうとするも、そのたびごとに何故かメダルは必ずラージャの元へ戻って来てしまう…。

 それから12年。相棒サティと共に立派な盗賊に成長したラージャは、金貸しの美女ダナラクシュミーとも一緒になってあの手この手で金品を強奪し面白可笑しく暮らす日々。
 一方、マヒーは伯父亡き後、養父母に虐げられる奴隷のような日々を送り、いつか子供の頃に出会った理想の王子様(=ラージャ)が迎えに来るのを夢見る毎日だった。

 ある日、養父母はマヒーを偽装誘拐させて、亡き父から受け継いだ彼女の莫大な遺産を手に入れようと計画。その頃ラージャは、仕事の依頼で女性用ガウンを盗んでくるが、それをギャングから逃げる女性(=マヒー)に持っていかれてしまう! なんとか彼女を救い出しガウンを無事取り戻したラージャだったが、報酬を受け取る直前に依頼主が突然死してしまった!!
 あまりの出来事にラージャは天を呪い、死神ヤマを精一杯罵るのだが、この声は天界の神々の聞く所となり、怒るヤマ神は"彼の寿命はあと40日以内"と決定する!
 次の日から、お屋敷のお嬢様のはずのマヒーの身代金をふんだくろうとするラージャだったが、その取引期限の日を、天界の閻魔帳は彼の死ぬ日と記録する…。


挿入歌 Na Chore (踊れ!)

*女性用ガウンを盗みにディスコに行ったラージャは……いや、盗むっていうかさあ…w
 メインでJr.NTRと踊ってるのは、テルグ、タミル、マラヤーラム、カンナダ、ヒンディー、ベンガル、ポージプリー各映画界で活躍していた女優ラムバー(本名ヴィジャヤラクシュミー)。2010年に結婚してからカナダ在住になっているため、その活躍はTVショーなどに移ったとかなんとか。



ニコニコ タイトルはお教え頂いた所「死神泥棒」(情報頂きありがとうございます!)。
 1958年のベンガル語(東北インド 西ベンガル州とトリプラ州の公用語)映画「Jamalaye Jibanta Manush」をアイディア元にした映画だそうで、「マッキー」「あなたがいてこそ」の監督S・S・ラージャマウリ監督による大ヒットSFXファンタジーのトリウッド(=テルグ語娯楽映画)大作。なんでも、アジア映画史上最大規模の屋内セットを設置しての撮影だったとか。
 公開後にタミル語(南インド タミル・ナードゥ州の公用語)吹替版、ヒンディー語(インドの連邦公用語)吹替版「Aka Lok Parlok」、オリヤー語(東インド オリッサ州の公用語)吹替版「Yamraja(ヤマ王)」も公開。
 日本では、2014年にCinema Pocchi 京都第2回作として「ヤマドンガ 地獄を盗んだ男」のタイトルで上映。2023年にJAIHOにて「ヤマドンガ」のタイトルで配信。同年にCSムービー・プラスにて放送された他、「熱風!!南インド映画の世界」にて上映されてもいる。

 あいかわらず、ラージャマウリ監督作は正当な娯楽作でありつつファンタジックな映画になりますわ。監督作としては6作目にあたり、この後「Magadheera(勇者パイラヴァ)」を挟んで日本公開される「あなたがいてこそ(Maryada Ramanna)」を監督している。
 とりあえずファンタジーファンとしてひとこと言いたい。もっともっとこう言うの見せてくれー!

 劇中に登場するヤマ神とは、古くはアヴェスターに登場する聖王イマ(=中世ペルシア神話を著した王書におけるジャムジード王)、リグ・ヴェーダに登場する人祖ヤマのことで、中国に伝わって閻魔大王となった冥界の王である。漢訳名 閻魔羅闍(エンマラジャ)または閻羅王(エンラオウ)、閻魔大王、閻(エン)とも。
 ヒンドゥー神話では、彼と彼の妹ヤミーから人類が誕生し、史上初の死者となって死界への道を発見した事から、死界を統べる神となったと言う。もとは死者の楽園を司る神であったものが、時代が下るにつれ地獄へ霊魂を連れ去る恐ろしい冥界神へと変貌し、地獄の王とも死者を裁く王とも解されるようになったと言う(実際に裁くのは、劇中にも登場するブラフマーの息子の書記神チトラグプタで、ヤマはそれを承認する役割、という説もある)。
 ちなみに、道教における閻魔大王は役職名のようなもので、何回か代替わりしてるんだそうな。説話でも、歴史上有名な人物が閻魔大王に任命される話とかあるそうで(おや、本作にも通じる設定)

 いや~あまりに面白くて一気に見てしまう傑作映画ですわ。突然でてくる天界の様子が現世とさほど変わらん権力構造と暮らしぶりなのは楽屋オチ的な皮肉なんだろうけど、テンポよく神様たちがケンカしてくれる所なんか面白過ぎ。
 初登場シーンで虎から変身するJr.NTRは、人獅子ナラシンハと掛けてあるんだろうけど(だから珍しいロン毛?)、話的にはあんまナラシンハとの共通性は少ない…かな?(こまかい隠喩的要素はあるだろうけど) 善悪を超越したキャラではあるけど、それはいつものJr.NTRだしなぁ。ま、庶民キャラを熱演するJr.NTRをもっと見たいよぉぉぉぉ。
 ヒロインのプリヤマニも可愛さ全開で美しかったですが、本作でなんと言ってもパワー全開で映画を支配してたのは、下町金貸しの美人女将ダナラクシュミー演じるマムタ・モーハンダス!! まさか「セルロイド(Celluloid)」の良妻賢母がこんなアクの強い女幹部みたいな役で楽しそうに大活躍してたトハ!! この人を主役にした女傑ものとかあったら見てみたーい。前半のにぎやかし出演だけかと思ってたアカポンタンな私をお許しくださいませ~。

 道化や悪党が死後に天国や地獄を騒がせて、そこを支配するルールを覆してしまうって話は、「じごくのそうべい」を始め古今東西あらゆる所に存在する話だけど、ヒンドゥーの神様が元からぶっ飛んでるせいか人間くさいせいか、色々と出てくる神様やその従者のキャラが立ちまくってるがなんとも微笑ましい。口八丁や色気攻撃でチトラグプタがあっさり判決を捏造するとか「それでいいのかぁぁぁ!!??」って感じだけど、死してなおたくましい人間たちがなんともはや。

挿入歌 Rubberu Gajulu (僕が貴方のために持って来た物 [それは皮のバングルと飾り紐])

*ロケ地はどこー!?

受賞歴
2008 Nandi Awards 編集賞(コータギリ・ヴェンカテスワーラー・ラオ)・メイクアップ賞(ナーラ・セーヌー)・衣裳デザイン賞(ラーマー・ラージャマウリ)・特殊効果賞(カマル・カンナン)
2008 Filmfare Awards テルグ映画主演男優賞・南映画ダンス振付賞(プレーム・ラクシート)
2008 CineMAA Awards 男優賞(Jr NTR)


(。・ω・)ノ゙ Yamadongaを一言で斬る!
「チトラグプタの持ってる閻魔帳(アカシック・レコード?)、ものすごーく読みにくそ&書きにくそ」


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