読書感想195 出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記(エッセイ・ノンフィクション) | フリスビーの読書感想

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「出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記」

(宮崎伸治著 フォレスト出版)

 

 

このシリーズは僕も何回か紹介している「○○日記シリーズ」の1冊なのですが、本作だけはちょっと趣が違います。

 

オロオロ日記、ヨレヨレ日記、ぺこぺこ日記…

 

同じ文字が続くネーミングがタイトルにつく本シリーズですが、今作は「なるんじゃなかった日記」となっています。

さらに本作だけは表紙が黄色であり、しかも定価が100円高い。

なぜ違うのか?

そのあたりも考慮に入れつつ、本書に挑みました。

 

 

このシリーズは時系列で話が進むタイプでないケースが多いですが、

本作は時系列で話が進んでいます。

著者が翻訳家になる前から話が始まり、そして翻訳家デビュー。

そして「7つの習慣の第2弾」で大ブレイクし、一躍売れっ子翻訳家に。

その後は出版社とトラブルになり、裁判に発展するまでの大問題が勃発。

こういった感じで話が進んでいる点は、今までの「○○日記」とは趣が異なっていると感じました。

本作は著者の自伝という解釈もできるかもしれません。

 

 

読み終えて全体を振り返ったとき、まず思ったことは、

 

この人はあちこちで上から目線な気がした

 

ということ。

「7つの習慣の第2弾」で大成功を収めたこともあるのでしょうか、ちょっと強気な書き方をしています。

もちろんそれを笑いに変えることもできるとは思いますが、僕目線だとその点はちょっと引っかかりました。

重要なところは強気でもいいと思いますが、無理に強気でいかないほうがいいところもある、それは気になりました。

 

ですが出版社とのいくつものトラブルに関する話は、非常に興味深かったです。

書かれている話が本当なら

 

出版社とはこんなにひどいところなのか

 

という気持ちになります。

 

印税のカット、連絡をしてこなくなる、そして勝手な出版中止…

 

これらと戦った著者の奮闘ぶりは、読んでいてハラハラドキドキさせられました。

最後の裁判に関しては、結末を迎えるまで、本当に気になりっぱなしでした。

結末はここでは伏せますが、ぜひ読んでもらいたいです。

 

 

現在は翻訳業を休止している著者は、本作で出版社に対して

 

100%約束を守ってもらえるのであれば、翻訳を引き受けたい

 

と書かれています。

ですが最近はずっと翻訳業をしていないということは…

現実とは薄情なものですよね。