「出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記」
(宮崎伸治著 フォレスト出版)
このシリーズは僕も何回か紹介している「○○日記シリーズ」の1冊なのですが、本作だけはちょっと趣が違います。
オロオロ日記、ヨレヨレ日記、ぺこぺこ日記…
同じ文字が続くネーミングがタイトルにつく本シリーズですが、今作は「なるんじゃなかった日記」となっています。
さらに本作だけは表紙が黄色であり、しかも定価が100円高い。
なぜ違うのか?
そのあたりも考慮に入れつつ、本書に挑みました。
このシリーズは時系列で話が進むタイプでないケースが多いですが、
本作は時系列で話が進んでいます。
著者が翻訳家になる前から話が始まり、そして翻訳家デビュー。
そして「7つの習慣の第2弾」で大ブレイクし、一躍売れっ子翻訳家に。
その後は出版社とトラブルになり、裁判に発展するまでの大問題が勃発。
こういった感じで話が進んでいる点は、今までの「○○日記」とは趣が異なっていると感じました。
本作は著者の自伝という解釈もできるかもしれません。
読み終えて全体を振り返ったとき、まず思ったことは、
この人はあちこちで上から目線な気がした
ということ。
「7つの習慣の第2弾」で大成功を収めたこともあるのでしょうか、ちょっと強気な書き方をしています。
もちろんそれを笑いに変えることもできるとは思いますが、僕目線だとその点はちょっと引っかかりました。
重要なところは強気でもいいと思いますが、無理に強気でいかないほうがいいところもある、それは気になりました。
ですが出版社とのいくつものトラブルに関する話は、非常に興味深かったです。
書かれている話が本当なら
出版社とはこんなにひどいところなのか
という気持ちになります。
印税のカット、連絡をしてこなくなる、そして勝手な出版中止…
これらと戦った著者の奮闘ぶりは、読んでいてハラハラドキドキさせられました。
最後の裁判に関しては、結末を迎えるまで、本当に気になりっぱなしでした。
結末はここでは伏せますが、ぜひ読んでもらいたいです。
現在は翻訳業を休止している著者は、本作で出版社に対して
100%約束を守ってもらえるのであれば、翻訳を引き受けたい
と書かれています。
ですが最近はずっと翻訳業をしていないということは…
現実とは薄情なものですよね。