「藤井聡太はどこまで強くなるのか 名人への道」
(谷川浩司著 講談社+a新書)
本書は谷川十七世名人が書いた、藤井聡太竜王に関する本です。
以前にも藤井竜王に関する本を書かれていますが、今回はタイトルにもあるように、名人戦と順位戦寄りに書かれています。
本書が発売されたときはまだ名人挑戦者が決まっていなかったので、
「A級でも藤井竜王は挑戦者争いの有力候補」
という感じで書かれているのですが、プレーオフの末、挑戦者に決まりました。
1週間前に棋王を奪取し、六冠を達成。
流れ的には完全に追い風となっている。
そしてそのまま名人も奪取するのではないか、というのが僕の本音です。
ちなみに名人を奪取すると、谷川十七世名人が持つ「最年少名人記録」を更新することになります。
ここからは本の中身のお話。
書かれていることで衝撃を受けたことは、藤井竜王が語った話。
それはタイトル防衛に関して
「防衛はスーパーシード」
という考えを持っているということです。
タイトルは防衛して一人前、と言われるのですが、挑戦するよりも防衛するほうが難しいというのもよくある話。
それが藤井竜王からすると、
「タイトルを防衛するということではなく、タイトル戦の決勝戦から参加できると考えている。
タイトルが減るかどうかではなく、スーパーシードで出させてもらえること自体がありがたいと考えたい」
とのことです。
僕がタイトルを持っていたら、
「減ったらやだなぁ」
という気持ちを持つと思うので、その点でも天才と凡人の違いを痛感することとなりました。
藤井竜王とは離れますが、最近は名人を目指すのではなく
「竜王を目指したい」
と語った棋士がいたとも書かれています。
確かに竜王戦は1年で竜王になれる可能性がありますが、名人になるためにはまずA級に上がらなくてはならず、そこまでで4年かかります。
そしてA級に上がって初めて名人挑戦権を争うことができます。
そこまでの道のりも大変ですから、その意味もこもった言葉なのだと思います。
現実に
「順位戦C級2組 竜王戦1組」
という棋士もいますからね。
棋士の名言、考えさせられます。