一度
生活水準を上げてしまうと
下げるのが大変
という言葉を聞いたことがあります。
あくまでも聞いたことがあるだけです。
私の生活水準は
終始
一定でございます。
教育の事を考えていたら
知ることは本当に幸せなのか
という疑問が湧いてきました。
知ることで
得られる喜びと
受ける苦しみ
両面あると思うのです。
１５年くらい前の話しになります。
インドネシアのバリ島で
とあるパーティーに
友人と参加しました。
会場は
海を見下ろせる
ビーチサイドで
海岸では参加のために
乗馬も用意されていました。
主催者に
呼ばれて言ってみると
馬に乗れるの？
と聞かれ
乗れると答えると
あの馬走らせてみてくれない？
と言われました。
良いですよ。
と乗ってみたものの
あれ、
なんかこの子
走らないんですけど。
この馬は
王族か貴族か
どこかの豪邸から
連れて来られたらしいのです。
馬って基本
走るんですよ。
走らせるよりも
止める方が
難しい。
それが馬ってもんです。
だけど
この馬は
たぶん
走ったことが、ない。
そうか、そうか
まさかね。
じゃあ
こうやって
こうして
走ってごらん。
駆けだした馬は
おれって！！
走れるんだ―！！
と爆走。
走るのが得意な馬が
（たぶん）初めて走ったのですから
自分の能力に
気づいてしまったのですから
その興奮と感動は
ハンパありません。
まぁ正直
走り方は思いっきり
下手くそでしたけど。
でも
そんなの関係ないんですよね。
駆けると、楽しい。
駆けると、気持ち良い。
馬の
その悦びは
その興奮は
いまでも
私の感覚に残っています。
でも
ふと思うのです。
あの馬は
その後
一度でも
駆ける事ができたのか。
また、豪邸の中でひっそりと暮らす。
駆けたい気持ちを
抑えて
あの興奮と感動を
思い出しながら。
きっとそれは
苦しかったかもしれない。
知ってしまったが故の苦しさ。
馬にとって
二度と駆けられない
一度も駆けずに終える
どちらが
幸せだったのでしょうか。
