「ジミー・サビル: 人気司会者の別の顔」★★★☆☆ Netflix
長年にわたって多方面において性的虐待をしていながら良く死ぬまで告発されなかったものだ。ジャニー喜多川のような事件。どこの国でも異常なやつはいる。でも、それが40年も50年も放置されていたことに驚く。
BBCが熱心にジャニー喜多川のことを報じたのは、ジミー・サビルの性的虐待を見過ごしていたという反省があるからという。
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ジミー・サヴィル(2006年)
サー・ジェームズ・ウィルソン・ヴィンセント・"ジミー"・サヴィル(Sir James Wilson Vincent "Jimmy" Savile [ˈsævɪl], 1926年10月31日 - 2011年10月29日, OBE KCSG)は、イギリスのテレビ司会者、DJ、慈善活動家、チャイルド・マレスター。
音楽番組や子供番組の司会者という表の顔を利用して、未成年者への強姦や性的虐待を繰り返していたことが死後に発覚した[1][2]。「イギリス史上最も多くの罪を重ねた性犯罪者の一人」 ("one of the UK's most prolific sexual predators") とも評され[2]、被害者は5歳(2歳とも[3])から75歳の男女500人以上に及ぶとされる[4][3]。
来歴
1926年10月31日にリーズに生まれる。無名時代は炭鉱労働者やプロレスラーを経て、ダンスホールのDJとして働きながら「ラジオ・ルクセンブルク」のDJとしても活動。1960年にテレビ番組「Young at Heart」の司会者として抜擢される。
1964年から42年にわたって放映されたBBCの長寿音楽番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」の初代司会者であり、憧れの有名人たちとの面会など少年少女の視聴者たちの夢を叶える企画を実施するBBCの子供向け番組「ジムにおまかせ(英語版)」の司会も行っていた[5][6]。
キューバ製の葉巻、金の宝飾品、トレーニング・ウェア、サングラスといった個性的なファッションの他[5]、パラリンピック発祥の地として有名なストーク・マンデヴィルや地元の病院などでのボランティア活動、及びこれらの病院の運営資金として何百万ポンドもの寄付金集めなどを行った[7][8]。
チャールズ皇太子はパブリック・リレーションズのアドバイスを求めて長年文通しており、サヴィルは1990年にナイトの爵位を受勲した[7][8]。「バッキンガム宮殿がサヴィルと良好な関係を持っているなら問題ない」と、当時のマーガレット・サッチャー首相はサヴィルを社会のロールモデルとして首相官邸に招待し、その実行力を称賛した[8]。こうして彼は社会的に「無敵の存在」になり、国宝級の人物とみなされていた[8]。
彼の長年に渡る強姦や性的虐待について、警察は何度か端緒をつかんでいたが、生前に逮捕されることはなかった[8]。
2011年10月29日、84歳で死去した。
性的虐待事件
「:en:Jimmy Savile sexual abuse scandal」も参照
サヴィルの死後、当時10代だった複数の女性がサヴィルにレイプされたと証言しはじめ、その後の警察や独立調査委員会の調査で、サヴィルがBBCの楽屋にて彼の番組に出演する少年少女に性的暴力を加えていたことが判明した。被害者72人のうち、強姦被害者は8人。強姦未遂の被害者は1人という結果が判明した[7]。また、最年少の被害者少年は当時8歳だったという[7]。
また、サヴィルがボランティアスタッフとして勤務していた国営病院施設で患者にも同様の性暴力を働いていた事が判明し、5歳から75歳までの少なくとも103人の犠牲者がいることがわかった。サヴィルは性暴行だけでなく、死体の義眼を取って指輪を作ったり、霊安室にて死体性愛をも行っていたことも判明した[9]。
ジャーナリストのモビーン・アザー(英語版)は、「サヴィルとバッキンガム宮殿、BBCは邪悪な三角関係にあった。」と述べており、イギリス王室、BBCとの関係が、悪行の隠微に寄与していたとみている[8]。またパンク・ロッカーのジョン・ライドンは当時からこの噂を耳にしており、1978年に出演したBBCのラジオ番組でのインタビュー中にそのことを指摘し発言したところBBCから出入禁止処分になったと語っている[10]。
この他にもBBCは、事件発覚直後にサヴィルの犯行を追及する番組の放送を取りやめており[11]、しかもサヴィルの葬儀10カ月後に別の局で放送された告発番組を証拠がないとして非難まで行った。しかし番組の反響は大きく、被害女性が次々に声を上げ始めロンドン警視庁は捜査に着手。最終的にBBCはサヴィルによる性的暴力を隠蔽していたことを認め、信頼が大きく揺らぐ結果となった[12]。
この一件以降、イギリスでは芸能人による性的虐待への大規模な捜査が始まり(en:Operation Yewtree)[13]、オーストラリア出身の司会者で画家でもあるロルフ・ハリスや、グラム・ロッカーで過去にも児童ポルノの所持・児童への性虐待で有罪判決を受けていたゲイリー・グリッターといった大物芸能人が次々と逮捕された。
損害賠償
サヴィルの遺産は、約400万~430万ポンド(約75~80億円)の価値があるとみられ、遺言執行者であるナットウエスト銀行によって凍結された。さまざまな費用が請求された後、残りの約330万ポンド(約61億円)ほどは、被害者への補償や、別の団体(BBCや国民保健サービスなど)に対して請求権のない損害賠償として利用可能とされた。
被害者への損害賠償は、すべての当事者に対して合計で最大6万ポンド(約1100万円)の請求に制限され、この補償制度は2014年末に裁判所によって承認された。もっともこの補償額については、被害の程度・期間・被害後の症状によっては充分な額とは言えず、有識者によって議論が行われている。
名誉剥奪
性的虐待の申し立てを受けて、サヴィルの名誉のほとんどが剥奪された。
ナイト爵位は保有者の死亡とともに失効し、死後に取り消すことはできない。
彼が司会を務める「トップ・オブ・ザ・ポップス」のエピソードは再放送されない。
関連作品
ジミー・サビル: 人気司会者の別の顔 - Netflixオリジナルドキュメンタリー(2022年公開、171分)
ITV Exposure: The Other Side of Jimmy Savile - イギリスITV制作(2012年10月3日放送、50分)[14]
The Reckoning - BBC制作のドラマ、全4話(2023年10月放映)[15]、主役のサヴィル役をスティーヴ・クーガンが演じた[16]。
関連項目
変態性欲
チャイルド・マレスター
ペドフィリア
スチュアート・ホール (アナウンサー)(英語版) - 同様の不祥事を起こしたBBCの元司会者。
ジャニー喜多川 - エンターテインメント業界で大きな権力を持ち[17][18][19]、未成年者[18]への性的虐待を長期間にわたって繰り返し[17][18][19]、死後に告発が相次ぎ追及が本格化したこと[18][19]などサヴィルとの共通点が多く[17][18][19]、喜多川は「日本のジミー・サヴィル」(Japan's Jimmy Savile)[17]とも評される。