五社英雄「226(にいにいろく)」★★★★☆
重厚な作りで事件の全貌がよく理解できた
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<映画>
作品名:226(にいにいろく)
監督
五社英雄
脚本
笠原和夫
キャスト
野中四郎:萩原健一
安藤輝三:三浦友和
香田清貞:勝野洋
村中孝次:竹中直人
磯部浅一:本木雅弘
栗原安秀:佐野史郎
ほか、当時の日本映画界を代表する豪華キャストが集結。
あらすじ
1936年(昭和11年)2月26日、積雪の東京。若き皇道派の青年将校たちは、国家の窮状を救うべく「昭和維新」を掲げ、重臣殺害を伴うクーデターを敢行する。
本作は、決起からわずか四日間で、彼らが「義軍」から「反乱軍」へと転落していく過程を、五社英雄監督らしい耽美かつ重厚な映像で描く。家族との別れ、天皇への忠誠と絶望、そして最期に下された非情な決断。事件の政治的側面だけでなく、若者たちの純粋すぎる情熱と悲劇的な末路を浮き彫りにした歴史大作。
意義
本作の意義は、二・二六事件を「国家の悲劇」としてだけでなく、そこに生きた「若者たちの群像劇」として最大級のスケールで映画化した点にある。史実に基づきつつも、豪華キャストによるエモーショナルな演技が、教科書の記述だけでは伝わらない当時の空気感や緊迫感を現代に再現している。また、黛敏郎による音楽が作品の悲劇性をより一層高めており、日本映画史に残る歴史劇の一つとされている。
反響
公開当時、そのあまりに豪華な配役と圧倒的な映像美が大きな話題を呼んだ。メモにある「重厚な作りで事件の全貌がよく理解できた」という感想は、本作が事件の流れを時系列に沿って丁寧に追い、かつ個々の将校の葛藤を丹念に描いていることの証左といえる。三日間にわたって『脱出』『銃殺』、そして本作と鑑賞されたことで、事件を多角的に、かつ最も深く俯瞰できる「総仕上げ」にふさわしい一本となった。
ネタバレ・総評
物語は、青年将校たちの自決や処刑をもって幕を閉じる。彼らが求めた「維新」は成らず、逆にこの事件をきっかけに日本は軍部独裁と戦争への道を突き進むこととなる。
「歴史の深淵に触れることができた」という日記の言葉通り、若きエリートたちがなぜ命を賭してまで決起し、なぜ敗れ去らねばならなかったのか。その問いは、今を生きる私たちにも重い余韻を残す。
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