最近、いろいろな資料作りや執筆が重なってしまったことから、ブログが後回しとなり、前回からかなり時間が経ってしまいました。
続きを期待して頂いた方々には感謝です。
前回は、割安を測るファクターとして、PERの代わりにEP(益利回り)という考え方をご紹介しました。EPはPERの逆数です。
EP=1÷PER
値の大きいものほど割安になります。
益利回りという言葉に馴染みがなく、マイナー過ぎる!?と思われるかも知れませんが、それなりに使用されていて、試しにGoogle先生に「益利回り」で検索してみると、様々な記事が出てきます。
例えば、日本株の適正PER15倍と言われていますが、これも何故15倍なのか、益利回りの視点から見ると納得したりするのですが、それについてはこんな記事もありました。
ただ、個人投資家がバリュー指針としてPERを参照するよりも、どちらかというと機関投資家が分析するためのファクターとして引用されることが多い気がします。
理湯としては、EP(益利回り)は、PERよりも色々な計算式に当てはめやすいからです。
特に、四半期単位でどのくらいの割安化が起きたかのか?を調べるのにはPERを使うよりもEPの方が使いやすいです。
ところで前回、次のような図1を用いて、PERの変化率を考えてみました。
変化率が小さければ小さいほど、業績の向上、あるいは株価の下落によってその銘柄が割安化したという目安になるのでは? という考えです。
ただし、1つ問題があります。(ここでブログが止まってしまったので、色々疑問に思われた方々から質問頂いたりもしたのですが、未回答のままだいぶ時間が経ってしまいました(汗)
図1 前回の再掲
問題というのは、変動する株価をどう考えるかです。
一応、PERのヒストリカルデータなども取れるので、そのままその時点での株価を使用しても良いのですが、ボラティリティが大きい状態であったりすると厄介です。1週間違うだけで、値が大きくズレて来ます。また発行済み株式数の変化があったりすると調整したりも面倒ですね。
つまり株価の変動を前提とした計算式だと、図1は難しいです。
そこで、もっとシンプルに考えます。
そもそも、PERの値が低くなるとは、株価が下がる、或いは1株益が上がるのどちらかです。なので、PERの変化率を求めるとしたら、それぞれ次の2つの式として整理した方がスッキリします。
その1は、単純に株価の変化で割安化したかどうかを見るものです。市場全体に釣られて暴落したりした場合には、この値が大きいもの程お買い得となっています。
その2は、業績の変化によって割安化したかどうかを見るものです。株価はいま現在、つまり変化後時点でのものを使います。値が小さいほど割安化したことを示します。
ここで、もし業績の成長性に合わせた割安化を測るならどちらが適しているでしょうか。もちろん、その2ですよね。
しかし、ここで小さいものほど割安化するということは、変化後<変化前の場合、マイナスの値が出てきてしまいます。正数より負数の方が低いことから赤字化すると割安という変な事になりますので、ここでPERの逆数であるEP(益利回り)を使ってみます。
利益のところには、売上、営業、経常、純益、どれを入れても構いません。
このシンプルな式が成長株の中での割安株を探すのに適したファクターになります。
グロースバリュー株とでも呼ぶと良いでしょうか。
利益には通期を入れても良いですが、四半期を入れても成立します。
四半期の利益を入れたものを四半期割安率と名付けています。これも前年同期や前四半期、あるいは2四半期同士での比較も出来ます。
参考までに、2020年からプライム市場での5分位分析を載せておきます。
左側がグロースバリューの四半期割安率、右側がグロース要素のみの四半期成長率です。バリュー要素を入れたものの方が、ここ数年は有効に機能しているのが分かります。(三角形に近い形のものほど有効性が高い結果です)
『四半期成長率とチャート分析』では、この四半期割安率の解説は省いています。四半期成長率のみの紹介となっています。
ただし、第5章の実践編では、PERをどう評価するかという視点も随所に加えています。私自身も、四半期割安率をファクターとして正式に取り入れる前は、PERのチェックを加えることで充分に対応可能でした。
なので、PERの性質に精通すれば特に必要ないのかも知れませんが、ただ、割安率のファクターを用いると、より素早く精度の高い銘柄選定や保有継続の有無が検討できます。
マイルール⑥
グロースとバリューを合わせ技で考える
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