株式投資を行う上で、非常に重要な「成長」について深堀りしてみます。

 

 先日、書籍を読んで頂いた友人から、「結局、四半期成長率って、なんなの?」「とりあえず数字の高いものを選べば良いの?」という質問を頂きました。

 「う~ん…」となったのものの、上手く説明できていない自分を反省しつつ、四半期成長率について、「そもそも成長ってなに?」ってところを少し詳しく書いてみます。

 

 そもそも成長ってなんですかね?

 

 何かが伸びる、大きくなることですよね。

 

 動物や植物だったら、大きさや重さの数字で成長を判断します。「成長する」とは、過去のある時点の数字よりも、今の数字の方が大きくになっている、ということです。100が120になれば成長したと言えます。別に難しい話ではありません。

 

図1:成長とは?

 

 成長率…とか分かりにくい場合は、上記の図をまず頭に入れておいて下さい。いろいろな名前の成長率が出て来ますが、結局、「この成長前と成長後に何を当てはめているか?」というだけです。

 

 では、会社の成長とはなんでしょうか?

 会社の成長とは業績が伸びることですよね。前期より今期の業績が良ければ、会社は成長していることになります。

 

 これを年単位に当てはめると年成長率になります。

 通常、年成長率は2024年3月期と2023年3月期といった具合に、1つ前の期で求めます。

 

図3:年成長率

 

 この成長前成長後を四半期に当てはめると、四半期成長率になります。

 

図4:四半期の成長率

 

 年と違って、四半期の場合は、成長前成長後に当てはめ方には、幾つかの種類があります。代表的なものは、成長前に四半期の前年同期を当てはめたものです。それを、四半期成長率:前年同期比ベースと呼んでいます。

 

 下の図5に例を載せてますが、成長後今期の第3四半期だとすると、前年同期は前期の第3四半期になります。ちょうど1年前の同じ四半期と比べて、どのくらい成長したかを見るものになります。1年前の同じ季節と比較していると考えてよいでしょう。

 なんでこんな比較をするかというと、企業商品の売上には季節的なものが影響することが多いからです。清涼飲料水は夏の方が売れるし、家電などはボーナスシーズンに買われますよね。引っ越しは2~3月に多いし、その他、季節に影響される商品は多いです。前年同期でみる成長性は、基調的な(大きな流れでの)成長性を見ていると思ってください。

 商品の売上に限らず、動植物の成長や、天候、気温など、世の中には、こういう季節性に影響されるものは結構多いです。

 

図5:前年同期でみた成長率

 

 

 四半期単位で成長性をみるものに、もう1つあります。

 それが前四半期比です。成長前に四半期の前四半期を当てはめたものです。四半期成長率:前四半期比ベースと呼んでいます。

 下の図6に例を載せてますが、成長後今期の第3四半期だとすると、前四半期は今期の第2四半期になります。ちょうど1つ前の四半期と比べて、どのくらい成長したかを見ています。

 これは、直近3ヶ月でどれだけ成長したのかを示しているので、前四半期でみる成長性は、足元の成長性を見ていると思ってください。

 

図6:前四半期でみた成長率

 

 

 四半期成長率は両方とも会社業績の成長を表していますので、値が大きければ大きいほど、四半期単位での高い成長性を表しています。

 私は、メインで見るのは前年同期比ベースで、前四半期比ベースはサブ的に見ています

 慣れない内は、前年同期比ベースだけを見ていても問題はないでしょう。私自身、四半期成長率を使い始めてから最初の5年ぐらいは、(頭が混乱するので)前年同期比ベースのものしか見てませんでした。

 

 ちなみに、この前年同期比と前四半期比という言葉は投資の世界では、よく使われます。株式投資サイトなどの決算速報なんかでは、「1-3月期(4Q)の連結経常利益は前年同期比●倍、前四半期比▲倍…」とか書いているので、馴染みがあるかと思います。

 ただし、通常、株式ニュースなどで使われている前年同期比や前四半期比は、一般的な式を使って計算したもので、それらは特定の条件下では不具合が生じて来ます。
 その不具合が生じないように、四半期成長率の前年同期比ベース、前四半期比ベースの計算式では改良、工夫しています。

 また、年成長率も私はローゼンバーグ方式と呼ばれるものを使っています。

 

 

 ブログでは割愛しますが、それら計算式のレベルから詳しく知りたい方は、拙著『四半期成長率とチャート分析』の第2章や、パンローリングchにアップしている無料動画セミナーの第3回で説明していますので、興味がありましたら参照ください。

 

 

 さて、株式投資で言われる成長率という言葉の意味はお分かりいただけたでしょうか。そして、考え方はシンプルで、成長に要する期間によって、年成長率や四半期成長率があるという点が分かれば大丈夫です。

 

 ここで前回のブログ記事に一度戻らせて下さい。

 前回記事では、思惑相場と業績相場の話をしましたが、四半期成長率と相性がよいのは業績相場です。

 四半期成長率は、(業績の成長と共に株価が上昇する)業績相場には適していますが、まだ業績が反映されていない思惑相場には適していません

 

マイルール③

上昇の理由が思惑か業績かを判断する

 

 上記記事の中では、マイルール③を紹介しました。

 思惑か業績かの判断方法としては、四半期成長率が使えます。私は上昇チャートを見て、四半期成長率が良いのは業績相場、悪いものは思惑相場という判断しています(もちろん例外はあります)。

 

 注意して欲しいのは、四半期成長率というのは魔法の呪文ではありません。PERやPBRと同じように銘柄を分析する1つの指標です。

 値が高ければ必ず上がる、というものではなく、あくまで現状の企業業績の成長具合を、前年同期、あるいは前四半期という2つの視点で分析したものになります。

 

 そして、PERが凄く低いのに、全く買われないで放置されている銘柄があるのと同様に、四半期成長率が高くても上がらない銘柄もあります

 

底値を延々と這っているようなものは次のような理由で上がらないし、

・個人投資家にあまり知られていない。

・出来高が少ない(人気がない)

・現在の市場テーマから外れている。

 

上げどまってからヨコヨコしているものは、次のような状態で上がりません。

・既に業績アップに株価が追い付くほど割高になっている。

・ボックス相場化している。

・次の決算発表待ちの思惑状態

 

 特にこの後半の3つ。

 これらの状態でエントリーするのは、上昇相場に途中から乗ることになります。

 拙著『四半期成長率とチャート分析』では、チャートの波動を上手く読みながら乗りこなす方法を書いてますが、もう1つ、四半期成長率と同様に、四半期単位での割安さを考慮したファクターを使うやり方もあります。

 

 そのファクターは、既にブログの過去記事で紹介していますが、「そもそも割安とはなんぞ?」という視点で、後日、書いてみようと思います。

 

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