こんばんは、水野友貴です。

 

本日は来賓としてお招きいただきました

関東弁護士会連合会第12回支部交流会

に出席いたしました。

 

 

弁護士116名の参加で、全国各支部の取り組みや現状、

課題をお伺いすることができ、心の底から大変勉強になったと

感じた1日となりました。

 

報告・意見交換等は4時間にもわたっていましたが、

私は特に労働審判の実施成年後見制度利用促進法

について勉強させていただきました。

 

そもそも労働審判とは何か??

ということから入る市民も多いかと思います。

 

労働審判手続は、解雇や給料の不払など、事業主と個々の労働者

との間の労働関係に関するトラブルを、その実情に即し、迅速、適正

かつ実効的に解決することを目的としています。

労働審判手続は、労働審判官(裁判官)1人と労働関係に関する

専門的な知識と経験を有する労働審判員2人で組織された労働審判委員会が、個別労働紛争を、原則として3回以内の期日で審理し、

適宜調停を試み、調停による解決に至らない場合には、事案の実情に応じた柔軟な解決を図るための労働審判を行うという紛争解決手続です。(裁判所ホームページより)

 

労働審判のメリットは以下が挙げられます。

審理が3回以内と区切られているので解決までの時間が短縮

労働者側及び事業者側の専門家が紛争解決プロセスに関与する

 ので、紛争の実情を理解し、実情に沿った解決が図られやすい。

労働審判における調停(双方が合意したこと)や審判(異議が申し

 立てられた場合を除く)は訴訟における判決と同様の効力がある。

 

さて、そこで今日の大きな議題となったのが、

労働審判を実施している支部が

全国203支部中5支部しかない!ということです。

 

千葉県下で労働審判を実施しているのは

千葉地方裁判所本庁(千葉市)のみです。

 

東葛6市(松戸、柏、流山、我孫子、野田、鎌ヶ谷)の事業者数は

43,624、従業者数は448,528に上っており、

多くの解決すべき労働紛争があるにも関わらず、

労働審判は松戸の裁判所では行われていません。

しかもこの東葛6市の管内人口は約150万人もいるのに・・・

 

つまり、東京の方が近い東葛の市民でも労働事件は

わざわざ千葉地方裁判所まで行かなくてはならず、

お金や時間のために利用をあきらめてしまうこともあります。

 

労働審判の実現を求めて運動した結果、長野地方裁判所松本支部

おいては労働審判手続きの取り扱いが開始されました。

 

長野県弁護士会は団体からの賛同署名を集め、長野県議会、

松本市議会をはじめとする市町村議会における意見書・請願を

採択してもらうための運動を展開し、長野県議会及び中南信地域の

全ての市町村議会において、同趣旨の意見書などが採択される

など、その取り組み活動が紹介されました。

 

松戸の裁判所で労働審判の実施の実現のために

弁護士会が動き、松戸市議会では議員提出議案として

千葉地方裁判所松戸支部における労働審判の開設を求める決議」が全会一致で可決され、残り5市においても弁護士会の皆さんが

働きかけていきます。もちろん、私も協力させていただきます。

本日我孫子市議会からは法学部出身の副議長もお見えになって

ましたので、市議会においてこの議論がなされることを期待します。

 

 

裁判を受ける権利は地域差があってはなりません。

まずは労働審判の周知と司法の現状と課題を市民の皆様に

知っていただくことが大切となります。

地域司法の充実が掲げられている中で、まだまだ不十分です。

 

というのも驚くなかれ。

日本の国家予算(一般会計予算)に占める

司法予算(裁判所関連予算)の比率は

わずか0.3%!!

 

施設も古い、裁判官も足りない・・・とにかく予算がなさすぎる!

地域司法の充実ということで国民の司法参加が求められる中、

労働審判や裁判員裁判などが実施されても予算がなさすぎて

基礎となるインフラやマンパワーといった裁判所の人的、物的充実が図られません。

 

やはりその地域の規模や事件数等、

ニーズに合わせた体制が必要なのです。

法務省、裁判所の予算問題も含め、政治の役割は大きいと

改めて感じた次第です。