アトリエの鍵をもらった日からしばらくはバイトで行けない日が続いて。やっと明日が定休日だっていう日の午後。突然、店長から電話があって。
『櫻井くん、急で悪いんだけど。今日から1週間店を休ませてもらうから』
「えっ、何かあったんですか?」
『うん…実はさ…』
話を聞くと、開店準備中にギックリ腰になってしまったみたいで…
バイトがなくなるのは正直きついけど、それよりも、大野さんに会いに行けることの方がオレには嬉しくて。
「翔ちゃん、何か良いことあった?」
「本当だ。翔やん何か嬉しそう」
相葉くんやニノからそう言われるほど浮かれた顔をしていたらしい。
講義が終わり、アトリエまで走って。
アトリエのドアが開いてないことを確認して、リュックからキーホルダーを出した。
まだ一度も使っていないキラキラしたアトリエの鍵。オレは鍵を鍵穴にゆっくりと差し込んでクルッと回した。
「おじゃまします…」
ゆっくりドアを開けて中に入る。
テーブルの上に描きかけのポスターを見つけて、近くに寄って見る。
「凄いなぁ。どうしてこんなに上手く描けるんだろう…」
色が塗りかけのポスターだけど、バスケを楽しんでいる気持ちや躍動感が感じられて。
オレはずっとそのポスターを眺めていた。