灯台への道は、遊歩道といってもそんなに整備されていなくて。両端に柵は作ってあるけど、石が転がっていたり、人がやっとすれ違えるくらいの細い道で。この道をしばらく降って海岸まで出た先に灯台があるらしい。
「なんか…思っていた道と違いますね…」
「本当だね。あ、櫻井くん、ほら」
相葉さんが俺に手を出して
「…え?」
「転んだらいけないから。ほら、早く」
「…ありがとう…ございます」
そっと相葉さんの手に触れると、しっかりと俺の手を握って
「じゃ、ゆっくり行くからね」
笑顔でそう言ってくれて。その笑顔が俺にはすごくキラキラして見えた。
ゆっくり歩く相葉さんの後ろを着いていく。
相葉さんの背中はすごく大きくて、繋いだ手は暖かくて。その暖かさが、じんわりと俺を包んでくれているような気がして。俺は、その暖かさにずっと触れていたい、包まれていたいって思った。
「あ、海が見える…」
「うん。やっと海岸まで降りれたね」
しばらく坂道を降ると、目の前が開けて海が見えて。海岸を訪れているらしい人の声が聞こえてくる。
ほかに人がいるんじゃ流石に手を繋いでもらえないだろうな…
もっと繋いでいたかったのに…
そんなことを考えていたら、歩く速度が少し遅くなっていたみたいで
「ん?櫻井くん、どうした?」
「え…あの…何でもないです」
「そう?疲れたなら言ったね」
相葉さんは、俺と手を繋いだまま、普通に当たり前のように歩いていく。
俺はそれが嬉しくて。相葉さんと繋いだ手が離れないように、相葉さんに身体がくっつくようにして隣を歩いていた。