相葉さんの運転で、車は走っていく。

真っ直ぐ前を見て運転している相葉さんの横顔は綺麗で。

ハンドルを持つ手で、車内に流れる音楽のリズムを刻みながら運転する仕草が格好良い。

俺は助手席から相葉さんのことをそっと見つめていた。

 

「あっ、海だ」


「うん、そろそろ到着するよ」


相葉さんは海沿いの駐車場に車を停めて。車から降りてぐうっと身体を伸ばした。


「相葉さん、お疲れ様でした」


「櫻井くんもお疲れ様。座りっぱなしだったから疲れたでしょ」


「僕は座ってただけですから。今日の目的地はここだったんですね」


「うん。天気もいいし、2人で海を見たくてね。櫻井くん、お腹空いてない?」


「そうですね。お腹空きましたね」


「向こうに飲食店があるみたいだから、ここでお昼食べようか」


俺たちは、駐車場の奥の飲食店に向かって歩き始めた。


『いらっしゃいませ』


飲食店の引き戸を開けて中を覗くと、元気な声で出迎えてくれて。いい匂いのする中で、たくさんのお客さんで賑わっている。


「2人なんですけど、大丈夫ですか?」


『どうぞ中へ。奥のテーブルが空いてますよ』


お店の人に言われて、俺たちは店の奥のテーブルに向かい合って座った。