「…はい、…はい、そうです。…はい、今回はご縁がなかったという…はい、申し訳ありません。…はい、いえそんなことは決して…はい、申し訳ありません…」

相葉さんと宝生さんの初顔合わせから2日が経った朝。出勤すると菊池が電話で何度も頭を下げている。


「おはよう、ニノ。菊池どうしたの?」


「翔ちゃんおはよう。ほら、宝生さんだよ。相葉さんのお返事を伝えてるんだよ」


「宝生さんか…」


「うん。相葉さんがお断りされたのが気に食わないんだろうね」


「俺、電話を変わったほうがいいかな」


「…いや、翔ちゃんは関わらない方がいいかも。菊池に任せればいいよ。宝生さんの担当は菊池なんだからさ」


菊池のことが気になりつつも、今日の予定を確認したり、諸々の業務をこなすうちに時間はすぎて。


「翔ちゃん、お昼行こう」


ニノと一緒にランチに向かう途中で、前を歩いていた菊池に声をかけて。いつもの定食屋で3人でテーブルを囲んだ。


「菊池、朝は大変だったな。納得してもらえたのか?」


「はい…なんとか。でも、大変でしたよ。どうして断られなくちゃならないんだって、終まいには、僕や櫻井さんが何か言ったんじゃないかって…」


「翔ちゃんや菊池が何か言うわけないのにね」


「はい。何度も説明してお詫びして…何とか納得していただいたって感じです」


「そっか…でも、納得してもらえたなら良かった」


「翔ちゃんも菊池もしばらくは気をつけた方がいいかもね。あの人、初めから相葉さんに固執していたからさ」


「えっ、二宮さん、脅かさないでくださいよ」


「そうだよ。ニノは大げさすぎるんだよ」


この時はそう思っていたけれど、ニノの言うことが決して大袈裟ではなかったことを、俺たちは思い知ることになる…