「………ん…」
ふっと意識が戻って、ゆっくり目を開けると真っ白な天井が見えて。
「…ここ…どこ…だ」
「あ、翔くん、目が覚めた?」
覗き込んできたのは智くんで。眉が八の字に下がってて。
「智くん…俺…ここは…?」
「翔くん、貧血だってさ。最近、暑かったり寒かったりしたしね。身体がついてこれなかったんだろうって」
「貧血…」
「びっくりしたよ。翔くんがロビーで倒れたって聞いて、慌ててロビーに行ったらさ、相葉さんが翔くんを抱えていてさ。凄い勢いで『医者はどこだ』って。そのまま走っていっちゃうんだもんな。俺、相葉さんを追いかけながら『病院、このビルの3階です』なんて案内して」
「じゃあ…ここは…」
「そう。うちの隣のビルのクリニック。点滴も終わりそうだし、俺、看護師さんを呼ぶついでに事務所に電話してくるよ」
「あの…智くん。相葉さんは…」
「あぁ、しばらく翔くんが起きるのを待ってみえたけど、会社に戻られたよ。次の面談日は二宮が調整してくれてるはずだよ」
智くんはスマホをポケットから出しながら、部屋を出て行った。
相葉さんに迷惑かけちゃったな…
1人になった病室で、点滴がポタポタ落ちるのを見ながら、俺は、倒れる寸前に見た、相葉さんの顔を思い出していた。