店の奥にはエレベーターがあって。相葉さんがマーロウと一緒に中で待っている。

「あの…相葉さん」

「ほら、櫻井くん。早く乗って」


相葉さんに言われるまま、エレベーターに乗り込むと、スーツの男の人も乗り込んできて。エレベーターが上へと動き出した。


チン、と音がしてドアが開く。


相葉さんの後についてエレベーターから出ると広い廊下の途中にいくつかドアがあって。その中の1つのドアの前で、スーツの男の人がカードをかざしてドアを開けて。


「相葉さま、お連れさま。こちらでごゆっくりお寛ぎくださいませ。お食事の用意ができ次第お持ちいたします」


「ありがとう。さぁ、櫻井くん。中へどうぞ」


「あ…はい。あの…失礼します」


中に入ると


「うわぁ…広い…」


そこは、さっきとは真逆の明るくてモデルルームの様な綺麗な部屋で。大きなダイニングテーブルや、座り心地の良さそうなソファが置いてあって、それから部屋の片隅には小さなバーカウンターまである。


「僕はマーロウの足を洗ってくるから、櫻井くんは適当に座っていてくれるかな」


廊下側のドアを開けて、相葉さんとマーロウが中へと入っていく。


「適当に座ってって言われてもなぁ…」


初めての空間に、少し居心地の悪さを感じつつ。俺は着ていたコートを脱いで、とりあえず壁際に置いてあった1人がけのソファにそっと腰掛けた。