「俺、田中さんへの対応が間違ってたのかなぁ…」


「間違ってはないと思うよ。翔ちゃんも田中さんも真剣にお相手を探していたし。時間がかかった分、親密度が増しちゃったのかもしれないけど」


「…うん」


「ほら、翔ちゃん。今日はじゃんじゃん飲んで、じゃんじゃん食べよ。ちょうど料理も来たことだし。ね?」


テーブルの上には、焼き鳥や揚げ出し豆腐、唐揚げが並んでる。

唐揚げを1つ頬張ると、熱々の肉から肉汁がジュワッと口の中に広がって


「う〜ん、美味〜い」


「あはは。翔ちゃんここの唐揚げ好きだよね」


「だって美味いんだもん。いつ食べてもここの唐揚げは最高だよな」


「たしかに。いつ食べてもここの唐揚げは美味い」


そう言いながら、ニノも唐揚げを1つ頬張る。

仕事終わりで空腹だった俺たちは、しばらくの間、食べることと飲むことに集中していた。


2杯目のビールが空になった頃


「そういえば翔ちゃん、相葉さんとの面談はどうだったの?」


「ん〜…菊池が言ってたとおり、結婚に興味がないらしくってさ。結婚に対する希望はないか聞いたらさ、無いって言うんだよね」


「へぇ…そうなんだ」


「それでさ、自分の希望はないけど、会社としての希望があるみたいなさ。一緒に来てた秘書の松本さんがファイルを開いてさ、弊社の希望は…って話し出すんだよ」


「えっ、マジで?」


「うん。マジで。それでさ…」


少し酔いが回っていた俺は、今日の相葉さんとの面談の様子を、こと細かに話していた。