「あの…櫻井さん」


「…ん?菊池、どうした?」


「相葉さんのことですけど、担当を変わってもらってありがとうございます」


「あぁ。相葉さんにいいご縁を繋げられるように頑張らないとな」


「あの…相葉さんなんですけど…結婚にあまり興味がないような気がするんです」


「結婚に興味がない人が、結婚相談所に登録はしないだろ」


「そうなんですけど…でも、結婚相手に求めることとか、どんな結婚生活を送りたいのかとか、何度質問しても答えてくださらなくて」


「だからこの資料、空欄が多かったのか」

 

「はい。僕が上手く聞き出せなくて…すみません」


いつもは騒がしいくらい元気な菊池が、今はシュンとして項垂れている。


「まぁ…俺は今日が初めての打ち合わせになるわけだし、焦らずに関係を築いていくよ。何かあれば菊池にもヘルプするからその時はよろしく頼むぞ」


立ち上がって菊池の肩に手をやりながらそう言うと


「…はい。僕、何でも手伝いますから。何でも言ってくださいね」


菊池はいつものような笑顔を見せてくれた。