発売前に存在を知って、読んでみたいと思っていた本でした。

読んでいる途中に、感想はこう書こうと思っていた文章をすっかり忘れてしまいました。

 

他の人の感想を見てみると後半失速したと感じている人がちらほらいるようですが、私は勢いに乗ったからなのか後半の方が読みやすかったです。

 

バレエのために生まれてきたような萬春という男の子が主人公の物語。

1章は共に過ごした友人、2章は叔父、3章は幼馴染の視点で描かれています。

そして最終章は春本人の視点。

俯瞰して語られる天才の物語という時点では、ジャズ漫画のブルージャイアントみたいだなと感じていました。

ブルージャイアントは途中で脱落してしまいましたけど。

最終章は春本人の視点と言うことで、結構生々しかった。

まず衝撃的な展開から始まり、3章までのつかみどころのない「春」から生身の人間である「春」になっていったように感じました。

4章の一番の見どころは春の集大成と言っていいのか、「春の祭典」でしょうか。

それがよく分からないと言われたけど、それが私にとってのコンテンポラリーのイメージかも。

私の感じるコンテンポラリーとは良く分からない抽象的なバレエって印象なので、それを描写するとああいう感じなのだろうかとぼんやり思いながら読んでいました。

なんて言えばいいのか。

バレエをするために生まれてきた春が、それに出会うまでの言い知れぬ不安、それが故の周りとの不協和音、出会って開花してバレエのために全てを捧げる人生を表した舞、なんだろうなと感じました。

 

前半の読み難さは、文章がというより私自身の教養の足らなさ故だと思います。

バレエをよく観る人は教養がある人が多いのかも。

春を構成する要素である、映画、読書、音楽、それらの作品が知らないものが多くて、想像が追いつきませんでした。

教養は視野を広げる要素だと改めて感じました。

 

ちなみに。

主人公の萬春は、羽生結弦さんのイメージです。