盲目的…より先に読んだのに、感想を一緒に書こうとしたら盲目的の方がインパクトが強すぎて後回しにしてしまいました。

 

この小説はとても穏やかで優しい物語になっています。

つぐみが主軸となって6つの短編集が繋がっていく内容です。

つぐみが主人公の物語のように見えて、不思議な老女メアリさんとつぐみの祖母が主人公のように感じる物語でした。

 

不思議な老女メアリさんは、つぐみの家族が経営するビジネスホテルに長期滞在をしていた、身元不明の老女です。

最初の短編で、実家の建て直しの話を受け、自分の部屋を整理するために帰ってきたつぐみは、自分の部屋で持ち主不明の小公女の本を見つけます。

それは身元不明のままなくなってしまったメアリさんが遺していった本ではないかと気づき、そこに挟まれていたレシピの存在に心惹かれていきます。

つぐみは実家の自分の部屋がなくなること、シェアメイトの友人が結婚し離れてしまうこと、これからの人生に対していろいろ思い悩んでいました。

そのことに向き合う勇気をくれたその本に興味を抱いた主人公は、メアリさんが常に持ち歩いていたとされる他の本たち、そしてメアリさん自身についてもっと知りたいと願います。

メアリさんに導かれるように、悩める人たちに寄り添うように置かれていった本たちと出会い、縁を深めていきます。

 

嫌な人がほとんど登場せず、心癒される暖かい物語でした。