作者の作品を読んだのは初めてです。

本のタイトルである「信仰」のあらすじに惹かれて読んだのですが、思っていたのと違いました。

好きな言葉は「原価いくら?」の現実主義の主人公が、同級生からカルト商法を一緒に始めないかと誘われるというあらすじでした。

が、物語の序盤で主人公が現実主義であることはまったく分からない状態です。

現実主義のカルト商法ってどんなのだろうとわくわくしていたので、これはあらすじ失敗なのではと思ってしまった。

「信仰」を変える難しさというか、自分の考えを変えることの難しさということでしょうか。

三人とも結局変わってないみたいだし。

 

それ以外の作品は、SFというかショートショートだったりエッセイだったり。

星新一的な小説が続くのかと思いきや、自分の話だったりで、知らない世界に迷い込んだみたいでした。

まったく理解できないわけでもなく、文章も読みやすかった。

作者の幼いころからの生き辛さみたいなのはすごく感じて、大人になってから寛容のある世界で過ごせていたと思ったけれども、どうやらそうではなかったと知った「気持ちよさという罪」が一番印象に残りました。

この話は多様性をテーマに書いた話なのですが、今世間で広がっている多様性は結局のところ、うわべだけを偽って飾っている状態なんだなと感じられる内容でした。

 

本自体は薄く、短編集なのでさくさくっと読めました。