野球殿堂博物館(住所=東京都文京区後楽)が、元プロ野球選手のランディ・バース氏、同じくアレックス・ラミレス氏、作曲家の古関裕而氏(1989年死去)が今年、野球殿堂入りすることを発表しました。御三方並びにご家族にお祝い申し上げます。おめでとうございます。

 特に私が喜んでおりますのは、古関裕而氏の野球殿堂入りです。古関氏は数年前から野球殿堂入りの候補になっていたものの、なかなか野球殿堂入り出来なかった為、私は残念に思っておりました。

 

 野球における古関氏のご活躍としてまず挙げられる代表的な業績が、

・全国高等学校野球選手権大会の大会歌「栄冠は君に輝く」の作曲

・阪神タイガースの球団歌「六甲おろし」の作曲

・読売ジャイアンツの球団歌「闘魂こめて」の作曲

という3つの業績です。他にも古関氏の野球関連の業績として、NHKのスポーツ中継の冒頭に流れる「スポーツショー行進曲」の作曲という業績もありました。

 

 ここで私が声を大にして申し上げたいのは、古関氏の野球に対する功績は、単に応援歌を作曲しただけではなく、プロ野球の試合の7回の攻撃時に観客・マスコットキャラクター・チアリーダーが一体となって応援するという野球文化の盛り上がりに貢献したことだと私は考えています。

 

 ここ数年は、感染症対策の為、野球場で応援歌を合唱したりジェット風船を飛ばしたりすることはなくなりましたが、かつて、プロ野球の試合の7回の攻撃時、観客が応援歌を合唱することはプロ野球の名物でした。

 

 東京ドームにおける巨人戦では、オーロラビジョンに「闘魂こめて」の歌詞が映し出されて(註)観客が合唱し、グラウンドではマスコットキャラクターであるジャビットとチアリーディングチームのVENUS(ヴィーナス)が応援を盛り上げ、歌の最後に合わせてヴィーナスのメンバーが10回位連続でバック転を披露すると拍手喝采となります。

(註=2022年に東京ドームで巨人戦を観戦したところ、7回の攻撃時にオーロラビジョンに「闘魂こめて」の歌詞は表示されませんでした。)

 ↓写真① 2019年9月13日に筆者が撮影した、巨人戦7回の攻撃時のオーロラビジョン

 

 ↓写真② 2018年8月9日に筆者が撮影した、巨人戦7回の攻撃時に10回位連続でバック転するヴィーナスのメンバー

 

 阪神タイガースが屋根の無いビジター球場で試合をする際の7回の攻撃時には、かつては観客が「六甲おろし」を合唱した後、ジェット風船を飛ばしていたのですが、大量のジェット風船が一斉に空を覆い尽くす様子は壮観でした。

 ↓写真③ こちらは参考画像となりますが、2019年9月5日に横浜スタジアムで筆者が撮影した、阪神タイガース勝利時にジェット風船を飛ばす観客

 

 このような、プロ野球の試合の7回の攻撃時に観客が応援歌を合唱する野球文化が感染症対策の為に中止される世相の中で、応援歌の作曲者である古関裕而氏が野球殿堂入りすることは、野球文化の継承という点で大変意義のあることだと思います。