それは暑い夏が過ぎた 雨上がりの午後のことでした。

 

妖精たちは 午前中のパトロールを終えて 花の周りでひと休みしていました。

リーダー格の妖精たちはというと 引き継ぎも兼ねてこんな会話をしていました。

 

「雨が降ったせいか 植物たちはみんな元気だったよ。」

 

「虫たちに葉っぱをかじられて 泣いてた花がいた。」

 

「その花に何かしてあげたの?」

 

「うん、ぼくたちの魔法の手当てをね。もちろん、虫たちが葉っぱをかじるかわ

りに花たちにしてあげていること(受粉の手助け)もちゃんと説明した後でね」

 

「さすがだね。きっとその花は今度同じことがおこっても 感じる痛みも少し変

わっていると思うよ」

 

 

 みなさん、魔法の手当てって何だと思いますか?

 

妖精だけが持っている不思議な力だということは想像できますが くわしいこと

は 私たち人間にはわかるはずもありません。

 

そもそも人間の私たちには 妖精の姿さえ見えていないのですから。

 

 

                       次回へ続く