月のない夜は

淡々と暮れてゆく

 

首筋から背筋にかけて

薄いベールのような

寂しさが身を責める

 

音はショパンの調べ

香りは

いつか二人で合わせたグラス

あの香り

 

間接照明に映える

紅の液体が時を刻む

 

心模様は淡く儚い名残雪

 

出会いと別れの

春四月

 

あのショパンの調べが

静かに沁みる

 

紫敷布