輝いた
あの若さたちが
想像すらしなかったでしょう
口紅も香水の瓶も
棚の隅に置き忘れたように
並べてられてしまう日があることを
季の流れの残酷さを
しみじみと知る日があることを
想い出さえも
葬られる日がくることさえも
輝いた
あの若さたちの記憶は既に遠い昔のできごと
消えかけたルージュを塗り重ねる日はもう来ない
雲が描いた一筋の紅色のルージュが
闇に消えてゆく
短い陽と共に足早に去ってゆく晩秋を
何度見送ったことだろう
越し方の
どのページにも残らない
ルージュの伝説