御用納めのあの夜

わたしは約束の場所に行かなかった

貴方が

いつまでも待っていることを知りながら

行かなかった

貴方に相応しいわたしではないと

思ったから

深く愛していたから

行けなかった

貴方の幸せのためにだと思ったから

行かなかった

 

ごめんなさいごめんなさいと何度もいいながら

見上げた空は

下弦の月が滲んていた