わたしの事故紹介
第三章 暗闇修正の忘却
全世界の動きが止まることも、小鳥たちが歌うことをやめてしまうことも、
太陽が輝きを失くすことも、フレーバー紅茶の香りも、
微笑みながらパンを焼くことも、うっかりしてしまった……。
わずかに思考力は目覚めたものの活動は鈍い。
暗闇を修正できる唯一のわたしは気がつけば、
その修正方法は忘却してしまったようだった。
そして、そして、はたと気がつけば
たった一行の、たった一言の
『好きです』に転げ落ちてしまっていた。
万友引力の法則によって落っこちた訳ではないし、意図して落ちた訳でもないが、
どうしてそうなったのかよく分からないがそうなっていた。
落ちていた。
暗闇の修正はわずかながら気にはなるが…
全世界の動きが止まることや、小鳥たちが歌わないことも、
太陽が輝きを失くすことも、フレーバー紅茶の香りも、微笑みながらパンを焼くことも、
暗闇を修正できる唯一の女性であるわたしが傍にいれば解決のようだけれど、
魅力的な囁きも、他に落っこちてしまった耳にはもはや届かない。
奈落の落とし穴ではないらしいが、
兎に角落ちてしまった。
さて、それからどのような展開になったのかは・・・
次号 明後日に続く