ああユキチさま

春です。桜の季節です。そして……
そしてわたしは恋に落ちちゃった
ユキチに恋をした
こんなに恋焦がれているのに彼は……
ふり向いてもくれない
いつも　わたしの三歩手前で　回れ右をして去って行く
ああユキチさま
たまあに来てくれることもあるけれど
彼にも都合というものがあるらしく
一泊二日か二泊三日ですぐにさようなら
もう少し傍にいてほしいけれど
つれない男(ヒト)だよアンタは
薄情な男だよユキチさま……
こんなに恋焦がれているのに……
白馬の王子様だと思っていたのに

彼は寂しがりやらしい
そして団体ツアーが好きらしい
仲間が大勢居る所が好きらしい
いつも成金さんの所か　
銀行あたりにたむろしているらしい

ああユキチさま
恋しい恋しいユキチさま

姓はフクザワ　名はユキチ

この物入りの時期なんたからさ
すこしは寄ってきてよ
ゆっくりしていってよ
この薄情者ユキチ