天高くさわやかな秋の日々だれけど凄く後悔しているこのごろ。
あの日あのとき、友人と釧路湿原に夕陽を見に行った日のこと。
展望台の駐車場に降り立った時、小さな小さな仔猫がミャァミャァなきながら駆け寄ってきた。一瞬こんなに人里離れた山の中にどうしたのいったい、もしかしてトラの子ども?豹の子?と思ってしまった。
そんな訳ないでしょう?

でも、どうしてこんなところに仔猫がいるわけ?
人影を見て駆け寄ってくるということはノラ猫ではない証拠だ。
でも、秋の陽はつるべ落とし、夕陽を見るのが忙しく展望台に駆け登る。
壮大なため息の出るほど美しい夕陽を思う存分眺めて駐車場へ、仔猫は車の脇にうずくまっている。
こんな山の中で……枯葉が北風に舞うこの時季、いかに毛皮をまとっていようとも寒かろうに、食べる物もないだろうし、生まれて間もない仔猫だネズミの捕りようもわからないだろうに……きっと誰かが捨てた仔猫……。
でもわたしは仔猫を見捨ててしまった。

他人の高級車に捨て猫を乗せる訳にはいかなかった。仔猫と言えど猫嫌いにはたまらないだろうし。助けて欲しいと追い縋る仔猫を秋深い山の中に見捨ててしまった。残酷なことをしてしまった。友人に仔猫を乗せて欲しい助けたいと願う勇気がなかった。夕闇迫るあの展望台の下の駐車場でうずくまっていた仔猫の姿が目に焼付いている。忘れられない。可哀そうなことをしてしまった。後悔している。悪いことをしてしまった。きっと一生後悔するような気がする。
ごめんね仔猫よ!。お願い夕陽を見ていた誰かに助けられていてほしい。
白と黒のマーブル模様の小さな小さな仔猫よごめんね。
猫も犬も嫌、動物が嫌いなわたしは後悔しながら日夜あの仔猫の身を案じている。