聡子は、夫の立介(りゅうすけ)、娘の佳代、義父の桂造の四人家族。
聡子の妹、幸子は夫の武彦と娘の直子の三人家族で、たびたび聡子に直子を預けて出歩いていた。
桂造は戦争で出征する時に、前妻から子供は別の男の人の子だと告げられ、トラウマを抱えていた。
終戦で帰還すると、前妻と子供は空襲で亡くなっていた。出征以降、前妻と、その子に憎しみを抱えて生きてきた。
その後、後妻の昭世と結婚し、立介が生まれる。
立介と聡子が結婚し、佳代が生まれた頃は昭世は健在で、よく遊びにきていた聡子の妹、幸子と教師時代の教え子の北川武彦の仲を取り持つことになる。
幸子たち夫婦に直子が生まれて、2年ほどして昭世はなくなり、それから更に2年が経ち、直子は4歳になっていた。
桂造は少し痴呆の症状が現れていて、正常な時と、出征した時の記憶が混在して現れていた。
ときおり、戦争中に南の島で原住民の女の子を殺してしまった。その子が時々現れると話すことがあった。
聡子は控えめな性格であったが、妹の幸子は対照的に派手な性格であった。
いつものように、直子を聡子の家に預けて、大学生の平田と不倫していた。
聡子は佳代を歯医者に連れていくために、その日は桂造と直子の二人だけであった。
帰ってくると、直子の姿が見えないことに佳代が気づき探し始める。
幸子に連絡がつかず、夫の武彦に連絡すると、すぐに総子の家に駆けつける。
方々探し回ったが見つからず、夜になって、庭にショベルがあるのを発見し、近くの土が盛り上がっていることに家族が気がつく。
恐る恐る近ずいて見ると小さな白い手がのぞいていた。
警察に連絡し、聡子たち家族が事情を聞かれている時に夫の武彦に幸子から電話がかかってくる。事情を説明すると幸子は急いで聡子の家を訪れる。
警察は桂造から事情を聞くと若い男がやってきて、すぐ出て行ったと言うが、痴呆のためどこまで信用して良いものか思案していた。
近所の聞き込みから、若い男の目撃情報が得られた。
家族の何人かは警察に言えない事情を抱えていた。
秘密を抱えた家族であり、動機はそれぞれの家族、不倫相手の平田にもあった。
果たして、直子の実の父は誰か?そのことが殺害の原因になったのでは?
ただ、家族の誰もが直子が亡くなったのに悲しむ者がいないのは、哀れな気がした。
連城三紀彦さんの小説は、「恋文」を読んで好感触だったが、今回の作品は重たく沈んだ気分になってしまいました。
不倫がもたらす、家族の不幸を描いたような作品でした。