著名な指揮者、梶が谷(かじがや)奏一郎を父に、名門オーケストラでチェリストを務める時依(ときえ)を母に持つ和音(わおん)は小学生の頃、友達からカナリアのヒナをもらった。
ときえの、と、わおんの、わ、から名付けた永遠(とわ)は、泣かないカナリアだった。
ある日、カナリアはいなくなってしまった。
それからしばらくして、母の時依も、和音の前からいなくなってしまった。
和音が10歳の頃のことである。
和音は4歳の頃から始めたチェロの練習を辞めてしまった。
父親と二人暮らしで、家政婦さんが交代で家事をやってくれる暮らしを続けている。
和音が15歳になった時に、父の奏一郎に、ボストン交響楽団の音楽監督の話が飛び込んできた。和音も現地の音楽学校に入らないかと誘いを受けるが、断る。
父の出国が間近に迫ったある日、和音の前に、新しいお母さんという女性が現れる。
フリーの音楽ライターをしている真弓という30代後半の女性だ。
和音が16歳になったら、手紙を渡して欲しいと、時依から頼まれていた真弓
この真弓と、友人の文斗(あやと)、朱里(じゅり)の四人の間に心温まる物語が始まる。
スペインのカタルーニャ地方出身のチェロ奏者、パブロ・カザルスの「鳥の歌」には感激してしまった。低音の、もの悲しい曲です。
晩年、国連での演説で、「私の故郷のカタルーニャでは、鳥たちが、peace、peace、peace、と鳴きます」には涙がこみ上げてきます。
その後、母親との再会、再びチェロと向き合う和音、文斗と朱里が音楽を通じて、それぞれの目的に向かって歩き始めます。
原田マハさんの作品は初めて読みましたが、とても心に残る作品でした。