「20センチュリー・ウーマン」見てきました。
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マイク・ミルズ監督のお母さんをモデルにした作品。20世紀後半の出来事を背景に、その時代を生きるシングルマザーの母親と、その子供の成長を描いた作品。
そして、彼らと生活を共にする周囲の女性たち(男性も少し)がまた一癖も二癖もあって魅力的。尖った彼らが共同生活をしながら、ぶつかり合い、認め合う姿がとても印象的でした。

息子の教育を同居人に頼むというのもかなり変わっているのですが、ことごとく彼女たちが彼にとって良くも悪くも大きな刺激となります。一風変わった彼女達の教育を存分に受けて成長して行きまふ。
思春期特有の異性との微妙な距離感を抱きながら、生身の女性たちと接する息子がとても愛らしい。
そんな息子と距離を縮めるために、息子の好きな音楽を聞いたり、クラブに行ったりする母親もまた微笑ましい。

でもこの作品はただの親子の物語には止まりません。20世紀の後半を生きるそれぞれの世代の葛藤や当時の社会が色濃く描かれている。ヒッピーやドラッグ、終戦や世界恐慌。そんな荒れた時代が落ち着いてきた頃の、やり場のないエネルギーや徒労感、そんなものがごちゃ混ぜになったアメリカを若者達と大人達がそれぞれ違った思いを抱えながら生きている。

演出も70年代や80年代を思い起こさせる、プリズムのような虹の影など独特で鮮やかな風景と相まって見ていて楽しい。

最後に語られる彼らのその後の彼らのエピソードは決して最高に幸せなものではないけれど、どこかほろ苦さを感じさせながら、それでも小さな幸せを掴んでいる逞しさを感じさせる。
少し特別な、人生の一瞬のきらめき。そしてその後の人生の寂しさや、ささやかな幸福を描いた心温まる作品でした。

優雄斗