第7話 資料を付箋で重要度別に分類。赤は「次に作る」だった🤣
前回、僕はプラレール専用ファイルを作った。
背表紙にはテプラで、
「プラレール」
と貼った。
ここでやめておけば、
「几帳面な人ですね」
くらいで済んだと思う。
済まなかった。
僕は次に、
付箋を導入した。
ネットから印刷した大量のプラレールのレイアウト。
当然、全部が同じ重要度ではない。
「これはいつか作ってみたい」
「これは部品が足りない」
「これは面白そう」
そして、
「これは次に絶対作る」
そこで僕は、資料を重要度別に分類することにした。
付箋の色を変えた。
その中でも赤は最重要。
意味は、
「次に作る」
だった。
……何をそんなに急いでいるのだろう。
誰も待っていない。
まきちゃんから、
「次回のレイアウト納期は来週の日曜日でお願いします」
などと言われたこともない。
そもそも彼女は4歳である。
ところが32歳の僕は、赤い付箋を見ながら、
「次はこれだな」
と真剣に考えていた。
完全に仕事である。
いや、下手をすると仕事よりちゃんとしていた。
会社の資料でここまできれいに付箋を貼っていたかどうか、若干怪しい。
僕はファイルをパラパラめくっては、
「この立体交差いいな」
「こっちは長い直線レールが必要か」
「これを組み合わせればもっと面白くなるんじゃないか?」
と考えていた。
そして、ここが僕の悪い癖である。
資料をそのまま再現すればいいのに、
必ずちょっと変えたくなる。
「ここ、もう一本線路を増やせないかな」
「この橋をもう少し長くした方が格好いいんじゃないか」
「列車がこっちから戻ってくるようにしたら面白そう」
気づくと、元のレイアウトとは別物になっている。
そして部品が足りなくなる。
買う。
また作る。
また足りなくなる。
買う。
今考えると、
プラレール会社にとって非常に優秀なお客さんだったと思う。
まきちゃんのために始めたはずなのに、まきちゃんが知らないところでプロジェクトが巨大化していた。
でも、この「少し変えてみる」という癖は、今も残っている。
教材を見ても、
「これ、もう少し子どもがやりたくなる形にできないかな」
と思う。
他の教室のいいところを見ても、
「これはいい。でも自分なら、あと一つ何か加えたい」
と思う。
練馬そろばん教室でも、僕が大事にしたいのはそこなのかもしれない。
最初から完璧なものなんて、たぶん作れない。
まず真似してみる。
やってみる。
失敗する。
それから、
「じゃあ次は、ちょっと良くしてみよう」
でいい。
もっとも僕の場合、
「ちょっと良くしてみよう」
の結果、
レールが大量に増えるという副作用があったのだが。
そんなある日。
僕は一台の新幹線を走らせていた。
トンネルを通る。
出てくる。
また走る。
そこで、どうしても気になることがあった。
「あれ?」
僕は新幹線を手に取った。
「これ……」
「光ってないよな?」
本来、光るはずだったのか。
故障なのか。
電池なのか。
仕様なのか。
説明書を見ても、どうにも気になる。
普通の人なら、
「まあいいか」
で終わる。
僕は終わらなかった。
電話を手に取った。
そして、
タカラトミーに電話した。
32歳。
用件。
「新幹線が光らないんです」
今思い返しても、なかなか強い。
次回 第8話
光っていない新幹線が気になって、タカラトミーに電話した32歳
「子どものおもちゃだから、まあいいか」
とはならなかった。
なぜ光らないのか。
どうしても知りたい。
そこで僕が取った行動は、メーカーへの電話だった。
そして、この電話。
予想外の方向へ進みます。
次回、32歳、本家に問い合わせる🤣