第5話 プラレールのレイアウトを30枚以上プリントした話
プラレールのレールが増えてくると、
次に起きることがある。
「もっとすごいレイアウトを作りたい」
である。
最初は丸くつなぐだけで満足していた。
そこに駅を置く。
橋を作る。
レールが増える。
すると人間、欲が出る。
「もっと面白いプラレールのレイアウトって、どうやって作るんだろう?」
僕はネットで調べ始めた。
検索すると、
出るわ出るわ。
すごいレイアウトがたくさんある。
立体交差。
巨大な駅。
複数の路線。
何本もの列車が同時に走るレイアウト。
「うわ、これすごいな」
「このつなぎ方、面白い」
「なるほど、ここで高架にするのか」
見れば見るほど面白い。
そして僕は、
気に入ったプラレールのレイアウトを、
プリントし始めた。
一枚目。
印刷。
二枚目。
印刷。
三枚目。
印刷。
ここまでは普通だと思う。
参考資料として数枚持っておく。
分かる。
問題は、
僕が止まらなかったことである。
「これも参考になる」
印刷。
「あっ、これは立体交差が面白い」
印刷。
「この駅の配置いいな」
印刷。
「これは今すぐ作らないけど、一応……」
印刷。
一応が多い。
気づけば、
30枚以上になっていた。
32歳の会社員。
自宅には、
プラレールのレイアウト資料30枚以上。
資格試験の勉強ではない。
仕事の資料でもない。
投資の研究でもない。
全部、
青いレールのつなぎ方である。
でも僕は真剣だった。
ただ写真を見るだけではない。
「このレイアウトの面白いところはどこだろう?」
「自分の持っているレールで再現できるか?」
「ここを変えたらもっと面白くなるんじゃないか?」
そんなことまで考えていた。
ネットでプラレールのレイアウトを検索している人の中には、
「子どものために、ちょっと面白いコースを作ってあげたい」
というお父さん、お母さんも多いと思う。
僕から一つだけアドバイスするとしたら、
最初からレールを増やしすぎない方がいい。
少ないレールで、
「どうやったら面白くできるかな?」
と考える方が楽しい。
レールが増えれば面白くなるわけではない。
これは後になって僕自身がかなり感じたことでもある。
大きければいいわけでもない。
量が多ければいいわけでもない。
限られた条件の中で工夫するから面白い。
……と言っている本人が、
このあと大量に買うのだけれど🤣
説得力があるのか、ないのか分からない。
ただ、この30枚の資料を集めた経験は、
今振り返ると意外と僕らしい。
僕は何か面白いものを見つけると、
ただ楽しむだけでは終わらない。
「どうなってるんだろう?」
と調べる。
いいものを見つける。
真似してみる。
失敗する。
また変える。
そして、
「もっと良くできないかな」
と考える。
これは今、練馬そろばん教室を作っている時も同じである。
教材でも、
教室づくりでも、
子どもとの接し方でも、
最初から自分の頭だけで完璧なものを作れるとは思っていない。
いいものは研究する。
やってみる。
失敗する。
そして少し良くする。
また失敗する。
また直す。
失敗は、うまくいかなかった証拠じゃない。
次に変える場所が見つかった証拠。
子どもにも、そんなふうに失敗できる場所を作りたい。
……と、今なら教育理念っぽく言える。
しかし32歳の僕が当時やっていたのは、
プラレールの写真を30枚以上プリントしていただけである。
後付けすると、何でも立派になる🤣
そして。
30枚以上になると、
新たな問題が発生した。
紙がバラバラなのだ。
「あれ? あのレイアウトどこだっけ?」
探す。
ない。
別の紙の下を見る。
ない。
「この前プリントしたはずなんだけどな」
こういうのが僕である。
集めるところまでは猛烈にやる。
そして、
整理でコケる。
そこで普通の人なら、
「じゃあ少し減らそう」
となるのかもしれない。
僕は違った。
「ちゃんと整理しよう」
と思った。
ここまではいい。
そして文房具を用意した。
ファイルに入れる。
資料を整理する。
さらに僕は、
背表紙まで作った。
そこに何と書いたか。
「プラレール」
専用ファイル完成。
32歳。
会社員。
プラレール資料30枚以上。
専用ファイルあり。
もう、
「姪が好きだから」
では説明がつかなくなってきた。
しかも僕はこのあと、
その資料をさらに分類し始める。
付箋まで使う。
重要度まで分ける。
赤い付箋は、
「次に作るレイアウト」
……仕事でやれ🤣
でも不思議なもので、
僕は本当に楽しかった。
誰かに褒めてもらえるわけでもない。
お金になるわけでもない。
資格が取れるわけでもない。
それでも調べた。
考えた。
試した。
もっと知りたくなった。
これこそ、
「自分から学ぶ」
ということなのかもしれない。
だから僕は今でも、
子どもに何かを教える時、
「どうやって覚えさせるか」だけではなく、
「どうしたら、この子が自分からやりたくなるか」
を大切にしたいと思っている。
人間、
やらされると面倒くさい。
でもハマると、
頼まれてもいないのに30枚プリントする。
僕が身をもって証明している。
ただし保護者の皆さま。
お子さんが何かに夢中になった時は、
温かく見守ってあげてください。
そのうち専用ファイルを作り始めるかもしれません。
そして、
背表紙にテプラを貼り始めたら——
かなり仕上がってきています🤣
資料が30枚を超えた。
だったら整理すればいい。
ここまでは分かる。
問題は、
テプラで「プラレール」と背表紙まで作ったこと。
そして、この男。
ファイルを作っただけでは終わりません。
次は付箋を使って、
資料を重要度別に分類し始めます。
趣味だったはずのプラレールに、
だんだん会社の仕事みたいな管理体制が導入されていきます🤣