<プチネタバレ>
 

 

「西の魔女が死んだ」は、梨木香歩著の小説で、田舎暮らしの英国人祖母と不登校になった孫娘の共同生活の物語。1994年の作品。

 

「西の魔女」と聞くと、一般的に思い出すのは「オズの魔法使いに出てくる悪い魔女」だろうか。
私は「西」という言葉にポジティブなイメージを持っている。
昔、「謎学の旅」という情報バラエティが放送されていて、その中で「西という字には『宝』という意味がある」と言っていたので、辞書で調べたら確かにそうであった。多くは、西に浄土があるから、という意味合いからきているらしいが、確かに三蔵法師は西を目指していたな、と当時は妙に納得したものだった。
西には、何かいいことがある。そんなイメージを今でも持っている。
そんなイメージがあったので、気になって手に取ってみた次第。
ちなみに、今、Webで検索かけると、西方浄土までは出てくるが、宝と断定している記述は見つからない。子供の頃の勘違いだったのだろうか。

遠い昔にイギリスから来たおばあちゃんは、田舎生活に憧れている者がまさしく思い描く、自然との共生による心豊かな生活を営んでいる。
こういう生活者のことを「魔法使い」と呼ぶのだと言われれば、まさにその通りと答えるだろう。
こんな生活をする中で、都会で心が傷ついた孫娘の心は、次第に癒えていく。
しかし、田舎生活もすべてが理想通りにはいかない。
そこには、魔法使いになるための精神的な修行が必要なのだと、魔法使いは説く。

この物語に出てくる西の魔女は、孫娘にとっては良い魔女である。
しかし、孫娘の母親にとっては、どうだったのだろうか。
昔は、文明に頼らずとも田舎でも生き抜いて行ける「魔女」が多くいた。しかし、そういった人達が良く思われてこなかった(魔女という言葉のイメージ)ことが多かったのは、必ずしも男達が不当な弾圧をしてきたため、だけではない。

「正しさだけがすべてではない」ところに由来するものもあるのかもしれない。

考えるところはいろいろあれど、気が付くと今までの最短日数であっという間に読み終わってしまった。
私のおばあちゃんも、こんな感じのところがあったなぁ、と思い出しつつ、
いろいろなタイプの女性がいろいろなことに頑張って幸せをつかんでいるのがわかる本書は、ぜひ子供に勧めようと思った次第。

追記:
本書は、最近本屋で見かけたのだが、調べてみると結構昔からあったものだと分かり、驚いた。
また、2008年に映画化もされていた。
さらには、学校の課題図書になっている模様。
意外と、子供の方は既に知っているかも。私が鈍感だけだったようだ・・・。


#小説,#西の魔女が死んだ