<プチネタバレあり>

 

 

「ストーンサークルの殺人」は、英国M.W.クレイヴン著のミステリ小説で、重大犯罪分析課に所属する、不正を正すためには何でもやるはみ出し刑事と天才だがデータオタクの女性分析官が猟奇殺人の謎を解く。2018年の作品。

 

私は、いろいろな本屋を歩き回るのが好きだ。
私の趣味やその時の嗜好に合っている本屋と巡り会うと、うれしくなる。
どんなに大きな本屋でも、何時間も歩き回って読みたい本が見つからないこともあれば、駅の一角にある小スペースの本屋で何冊も気に入った本を見つけることもある。
私が学生の頃にアルバイトしていた、地方に複数店舗を持つ本屋では、まだ若いアルバイトの方が本の仕入れや棚出しを任されていた。
そして、その方の感性が、その本屋の「色」を作っていた。
今もそうかどうかはわからないが、同じ大型書店の系列でも平置きされている作品は売れ線ながらも若干置かれているものが異なっているのは、その本屋の特色だと思い、そういった本を眺めている。

で、今回、最近あまり行かなくなった地方の大型書店に行って店内を回っていたら、「キュレーターの殺人」なる本に出会った。
キュレーターという言葉は最近皇族関係で聞いた言葉。めずらしいなと思い手にとってみると、その本はシリーズものの3作目とのことで、1作目の帯は「まだ読んでないの?」。
帯に煽られ、ちょっと読んでみるかと、シリーズ1作目である本書を手に取った。

本書に登場する刑事はかなりはみ出し者の分析官である。この刑事、データよりも直感を信頼する、というタイプで、まぁ刑事モノとしてはよく出てくるタイプだが、所属は「重大犯罪分析課」。部長刑事という肩書で呼ばれるので、ついつい一般の刑事と混同してしまうが、所属している課から判断するに「この人、分析官だよな、、、」という感じの刑事が主人公。
そして、天才であるが故に世間一般の常識がなく、職場でいじめられ、街中で絡まれ、という同課所属の女性分析官が、もう一人の主人公。
部長刑事の方は、ささいなきっかけを何でも連続猟奇殺人事件に結び付け、いろいろな上司から反感を買いながらも独自の捜査を進めていくのだが、さすがに途中で「いらっ」とした。
なんで、こんな伝聞を強引に事件に結びつけるねん?、という感じ。さすがに脈絡がなさすぎではないか?

しかし、なんとそれら(「いらっ」を含めて)がすべて仕組まれた伏線であり、最後は見事に回収されていく。(すべては言い過ぎか・・・)
また、結構早めに犯人が分かるのだが、そこから先の展開が面白い。
通常の謎解きとは少し違う緊迫感溢れる展開が待っており、読むペースも加速していく。
また、データおたくの女性天才分析官との信頼が強固なものになっていく過程も、非常に良い。

ボリュームはあるが、一気に読まされてしまう面白さがあった。

ワシントン・ポーシリーズは、2024年8月時点で、全6冊出ている。
ぜひ続きが読みたい1冊である。


#ミステリ,#小説,#ワシントン・ポー