「倒産続きの彼女」は、新川帆立著のミステリ小説で、大手弁護士事務所に所属する企業法務向けの女性弁護士が、本著者の代表作「元彼の遺言状」に登場する「剣持麗子」と一緒に事件を解決する。2021年の作品。

 

新川帆立のミステリ小説が面白い。

剣持麗子の2作品を読み終えてしまったので、同じ弁護士事務所に所属する剣持麗子の後輩「美馬玉子」が活躍する「倒産続きの彼女」を読んだ。

剣持麗子と比べると、主人公が大分「こちらより」になった感がある。
見た目も家庭環境も恵まれていない自分にコンプレックスを抱きながらも、決して外にはその胸のうちを見せず、周りに頼らず自分の力だけで生き抜こうとする主人公。
私には、この感情がなんとなくわかる。でも、私は、そんな自分が好きでないので、最初はこの主人公があまり好きになれなかった。
ただ、そんな彼女が、それでも懸命に先に進んでいく姿が、そして、想像以上の過酷な過去を持ちながらもおばあさんと一緒に必死に生き抜いてきたことや、剣持麗子らと一緒に仕事をするうちに、周囲にも頼ることの大切さに気付いていくところなどがわかりやすく描かれており、読後感は気持ちのよいものになっている。

ミステリだけで見てみると、若干無理があるように見える内容だが、こんなにも面白いと感じるのは、登場人物が魅力的だからであり、それがわかりやすく伝わる文章になっているからだろうか。

最後に。
美馬玉子が投資家について語っているところ。
ここがこの作品のプロットのベースになるところであり、語りたかった部分なのだと、私は勝手に解釈している。

 

 

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