2022金沢6 からくり記念館 | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

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趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

2022金沢6
からくり記念館

1/4(火)
 さて、市立図書館まで来ると、大野、内灘地区が目と鼻の先。大野はかつてより北前船の寄港地という地の利を生かし、味噌や醤油の醸造が盛んだったが、それが衰退した現在、その歴史的景観を生かした観光地に、という試みがあるのを、もう20年くらいは昔のことになるが、確認していた。大きな蔵を改装した施設で、醤油味のソフトクリームを食べたのを思い出す。これが意外や、キャラメルのような風味になるのに驚いたものだ。

 じゃあ、ちょっと寄っていくか、とばかり車で走り始めると「からくり記念館」の看板が目に入った。あれ、昔、そんなところに行った覚えがあるけど、あれは山陰を旅した時じゃなかったっけ、と2人そろってすでに記憶が曖昧だ。とりあえず、看板のとおり海岸線に出て走って行くと、先にちょっと変わった建物が見える。なんとなく見覚えのあるような気もするし、類似の建築に触れたことがあるだけなのかも知れず、と考えが錯綜したが、ともかく駐車場に車を入れた。


超個性的な建築!


 記念館の前に立ってみると、円形の建物を主体として、回廊でつなぐ様式は、そうだ、高岡の美術館や新湊の博物館がそうだったな、と思い当たる。おぼろげな感覚は、してみると地域的にもつながるし、同じ建築家の設計に違いない、という確信に変わった。じゃあ、入ってみるか、と建物に踏み込んでみて、やっと来たことのある施設はここだった、ということに気がついた。


なんとなく来たことがあるような・・・!?

 すぐに、歴史的名品という、館蔵のからくり人形をいくつか揃え、館長がレクチャーしているところに行き当たる。すでに話は始まっていたが、10人ばかりいる観客に混じって席に着いた。


館長自らの解説と実演

 この地域出身の大野弁吉が、かの「からくり儀右衛門」こと田中久重と並ぶからくり人形の天才技術者ということらしい。今、目の当たりにしている人形はその大野弁吉の手になる本物のからくり人形、これの実演を見る機会はそうそうなかろう。客に茶を運ぶ人形は、その手から茶碗を取り上げるとストップし、再び乗せると今度はUターンして戻っていく。コンピュータ制御のロボットが当たり前になった今の目で見れば、なあんだ、ということにもなりかねないが、ゼンマイ仕掛けの動力一つから、歯車を主体とする伝動装置を駆使し、複雑な動きを導き出すその発想力と卓越した技術は、やはり大したものと思った。


歴史的名品を前にして

 メインの会場に至る回廊の一画に、記念館の建築について紹介するコーナーが設けてあった。


やっぱりな。北陸を巡っているとこの建築家の仕事に巡り会うことがかなりある

 内井昭蔵という建築家による設計は、思ったとおり新湊博物館や、高岡市美術館も同様。後で聞いたら、石川県内には3件あるそうで、長谷川等伯の出身地に建つ七尾美術館もそれだという。改めて意識させられた個性的なその建築は、即座にそれと分かる質を持つ。


新湊博物館(上)と高岡市美術館(下)。誰が見ても共通点を感じるだろう(それぞれのHPより転載)

 

 

 

 円形の建物がメインの棟、ここにはからくりを鍵に応用した箱を開けてみよう、という体験型の企画に加え、平賀源内で有名なエレキテル、のぞきからくり、映像作品などに混じって、大野弁吉の事績について解説したコーナーがあった。親子づれが多く、中には3代にわたる家族も散見されるなど、賑わっている様をみるのは悪くない。しかし、はじめに体験した、からくりの謎を解くコーナーは大変難解で、章湖は「一つも解けなかった」とメモを残している。


このコーナーは大変難解!


体験あり実演ありの展示


 この時点で、すでに箔巧館のことは頭から飛んでいた。ちょっと早めに昼にしよう、とここを出るなり、お目当ての「まいもん寿司」に行ってみるが、こんな郊外で、しかも昼を前にした時刻ながら、遠目にも明らかに行列が発生している。店に入って聞けばおよそ1時間待ちというから、即座に諦めた。検索して行った、お隣の野々市の店も同様だった。

 諦めて、からくり記念館にあったチラシの「金沢市民芸術村」に向かうが、途中でもう1店舗「まいもん寿司」を見つけて寄ってみたら、やはり50分の待ち。人気のチェーン店はこういう事情なのだ、ということがよーく分かった。



2022金沢7 金沢市民芸術村につづく