2018宇治11 三室戸寺 | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

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趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

2018春の旅 宇治 醍醐 黄檗 坂本(3/26~30)その11

 

3/28(水)⑤
 観光客で賑わう宇治川沿いの小径を抜け、やっとの思いで大通りに出た。そう遠くないところに「醍醐寺」があるのは分かっているが、章湖は昔行ったことがあり、あそこは八重桜が主体だからもう少し後がいいんじゃないの、と言う。


 じゃあ、どこへ行こうかと迷っているうち、「花の寺 三室戸寺」の看板が目に入る。すかさずその交差点を右に折れ、緩やかな住宅街の坂道を上る。この途中、何本もの見事な桜が目に入り、「花の寺」というからにはどれほどのものだろうとの期待は膨らんでいく。有料の駐車場は¥500、ここから歩いて山門をくぐると、山腹の境内は広大、樹木あり枯山水の庭園あり、四阿ありと、美しいところに違いないが、如何せん桜が少ない。ツツジやあじさい、蓮などといった花が豊かなようで、桜の時期を狙って来るべきところではなかったようだ。

 

観音信仰の寺らしい雰囲気満載


 寺そのものは、たとえて言うなら、紀ノ川沿いにある粉河寺のような重厚な建築、瓦葺きの二層の屋根に曲線を帯びた破風、軒下にたくさん掲げられた奉納額が、これまた立派なものが多い。つまりは、観音信仰を集める寺にありがちな、どことなく俗気を漂わせた気分がこの寺にはある。しかし、決してけなして言うつもりはなく、観音様というのがそもそも大衆を相手にしているのだから、それは自然なことだ。丹塗りの美しい三重の塔を含め、境内は、これはこれで一つの寺のイデアとでも言うべき姿に見える。

 

桜があまりたくさんはなかったが、ここはある種、寺のイデアに近い


 山を下りた後、昼はスーパーのイートインコーナーで済ませてしまう。


 さて、かれこれ2時を回り、気になるのが今日のテン場だ。近くに見つからない場合、いっそ京都には見切りをつけて琵琶湖の周辺にでも行くか、などと話してもみたが、一縷の望みを託し、宇治川上流のダム右岸にあるらしい森林公園を覗きに行く。左岸側は昨日ひととおり走ってみたが、全くそんな余地を見つけることは出来なかった。


 ナビを見つつ山へ入る路地を曲がると、すぐに現れる野球場がきちんと施錠されているのは昨日既に確認済みだが、この上にゴミ処分場があるとの標示に、一昨年行った、三重の青山高原のひどい産廃やゴミの散乱する光景が思い浮かぶ。これは期待できないなという気分のまま、さして広くはない舗装路を上っていく。

 

 少し進むと処分場のゲートがあり、ここからさらに続くヘアピンカーブを曲がると、路肩に散乱する折れた小枝や、法面から崩れ落ちた小石が目につきはじめた。これはあまり車が通っていないな、という気配に、今度はもしや、の期待が頭をもたげる。

 

 藪の中を続く坂を登り切って平坦な道に出たとたん、視界が開け、満開の桜並木が目に飛び込んできた。軽自動車が一台、山側の道路脇に駐車してあったが、犬を連れた若い夫婦が花見に訪れていただけだった。道路の谷側は丁度見頃の桜並木、ここならテントを張れそうな場所はいくつもある。眼下には湖とダムサイトが一望のもと、今見る限りでは、これ以上望めないほどの場所に思える。

 

眼下にはダムサイトが


 一段高いところにレジャーシートを敷き、くつろいでいる夫婦の旦那さんに話を聞くと、結構人は来ますよ、という話だったが、その時はその時だ。今晩はここ、と決めてしまう。

 

 一応、奥にある森林公園を覗きに行くが、そこから先の道は通行止めになっている。おそらく、ダムサイトから続いている道だろう、かつてはダムの躯体上につけられた道を渡ってくることが出来たのかも知れないが、今はそこも通行できない。従ってほとんど利用されていない公園と思われた。

 

桜も満開、もう言うことなし!のテン場適地!!

 

 

 

2018春の旅 宇治 醍醐 黄檗 坂本(3/26~30)その12につづく