2020 再びの会津12可月亭庭園美術館/福西本店 | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

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趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

2020 再びの会津 その12

 

8/13(木)②

 本日、はじめのターゲットは会津若松市内にある、「可月亭庭園美術館」。どこかで手に入れたパンフレットがあったので行く気になったのだが、電話番号は登録されていず、名称で入れてもナビに出てこない。住所を入力してやっと地点が特定された。

 

 まずは近くにある、ショッピングモールのコインランドリーに洗濯物を突っ込んでからそちらに回った。

 

さすが会津若松。文化の厚みが違う


 駅でいえば南若松の近く、もとは「清瀧」という造り酒屋の建物。これを利用して母屋と庭園を公開、蔵では展示会を開催し、母屋ではカフェを営業している。経営者は星野さんという、ここの当主だが、奥さんの方がどちらかというと主導的に見えた。

 

 先代のコレクションと、東京の、奥さんの実家から持参した絵画作品、併せて150点ほどの収蔵があるという。奥さんのお兄さんが芸術家で、残されたコレクションは要らない、ということで実家から全部持ってきた、という話だった。蔵を改造した展示室には、梅原龍三郎の素描や、坂本繁二郎の小品、斉藤清の版画2点を含む、20点あまりが展示されていた。今回の特集テーマは動物、なるほどそれに沿った作品が並んでいた。

 

蔵が美術館に


 母屋は登録有形文化財というが、確かに素晴らしい日本家屋だ。一枚板という廊下の床は確かに大木から切り出されたことが一目瞭然。欄間の指物や戸棚の絵、床の間の掛け物なども雰囲気のあるものばかり。池のある庭園もなかなかに素晴らしい。

 

母屋は立派な日本建築。この掛け物は複製か


 酒の醸造は30年ほど前に廃業、後継者に悩んだ末、というようなことを聞かされた。会津の酒は有名だが、こういう蔵もあったのだということを知る。

 

庭園は別料金だがここから見える


 洗濯物を乾燥機にかけ、今度は「福西本店」へ。こちらは会津若松の中心に近い、野口英世青春通りにある。福西の隣にある駐車場はリオンドールのもの、ここでもよかったけれど、ちょっと離れたところだが、中町無料駐車場があるのを来がけに確認していた。

 

蔵造りの福西本店


 福西の何代目かのご主人だろう、年の頃は40台、黄色のポロシャツの男性が所々で案内、そして解説をしてくれた。元々は、今でいう総合商社のような商売をしていたというこの店、何代かにわたって増築してきた母屋と蔵は、凄いの一言。重厚な日本家屋である。公開するに当たって白木の床や長押、天井等は全てクリヤー塗装したというが、それで、ちょっと英国風というか、純粋な和の空間、というのとは違う雰囲気になっていた。

 

白木の部分に塗装がほどされ、大分違った雰囲気に


 指物や建具など、施された細工は超一流、一口に金持ちといっても、上のクラスの造作であることを思わせる。チラシにもあったが、展示は終戦記念日にちなんだもの、東京裁判で裁かれた面々、東条英機を筆頭に、広田弘毅、岸信介ほか、将軍、参謀クラスの肖像写真と、その人の書が並べて展示され、これに短い解説が付く。これがまた気のきいたもので、どんな人がこの解説を書いたのか、聞くのを失念してしまったのは残念。他にも、戦意昂揚のために使われた?らしい日清・日露戦役の錦絵多数。

 

東条英機の展示


 展示が面白かったのは事実だが、それよりも建物の造作に興味が行ったのは正直なところ。重厚な扉を持つ蔵に入ってみると中が座敷、これはまあ、他にもあるとして、奥がどん詰まりではなく、窓が付けられて庭が見える蔵など、こんなものはよそで見たことがなかった。 

 

 


座敷蔵は向こうにガラス戸が

 

 母屋に付随する、他のいくつかの蔵ではレストランや和風カフェなどを営業しているが、レストランは夜のみの営業、甘味処で済ます、という腹の空き具合ではなかったので、どこかよそで昼にしよう、と決めた。

 

 乾燥機をかけてからすでに2時間以上は経過、洗濯物はすでにカゴに出されていた。


 さて、コインランドリーに戻る途中の道筋に、ラーメン屋が2軒、続けざまに目に入った。もう昼時のピークは過ぎていたが、そのうちの1軒には行列が。「うえんで」の大きな看板が目印、戻ってその店へ行くと、すでに行列は解消、すぐに入ることが出来た。

 

塩ラーメンの「うえんで」

 

 ここは塩ラーメンが主力の店、海の塩と山塩があるがそれぞれ注文、なるほど山塩の方が高いだけあり、塩気がマイルドに感じる。すっきりした清湯の、おそらくは鶏ガラ主体のスープだが、なかなかに味わい深く、麺との相性も絶妙。チャーシューも柔らかくて旨い。これなら5点満点中の4点以上はかたいだろう。我々が麺をすすりはじめた頃合いで、店員が暖簾を下げに行き、そのあとから来た客はみな断られていた。危ないところだった。

 

ここのラーメンは旨い!

 

 

 

2020 再びの会津 その13につづく