2008山陰15 鰐淵寺 | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

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趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

2008山陰15

鰐淵寺

 

8/15(金)③

 出雲日御碕から半島を東に向かい、山中にあるという鰐淵寺を訪ねた。山道に入っていくと、道ばたに現れたのが、もの凄い大岩、下が岩屋になっていて、ここに縄文時代の住居跡と表示が立っていた。

 

                  縄文時代の住居跡のある岩屋


 鰐淵寺は山間の沢づたいに境内の広がるお寺。いくつもの堂や、神社と思しき建物さえある。いずれも古趣あふれる建築で、おそらく、かつてはここにも建物があっただろうと思われる土地も境内の中には散見され、かつての寺勢を物語っていた。しかし、廃墟の匂いというのはまた格別なものがあり、そこに魅力を感じていた可能性も否定できない。

 

                  鰐淵寺前を流れる川沿いの道


 苔むした岩の間を縫って流れる沢は変化に富み、時に小さいながら滝を懸ける。そのうえ周囲には沢山の楓が茂り、紅葉の季節はさぞかし美しいだろうと想像された。ここは弁慶が修行したという伝承を持つ古刹。


 宍道湖の南岸を抜け、島根県立美術館へ向かう。車での移動中は常にテン場を探しながら、というのが習慣になってしまっているが、来待(宍道湖南岸の地名)で少し山側のルートを取った時、まことによさそうな場所を発見!山あい、といっても割に開けた集落の、低い山の木々に囲われた境内に立つ菅原天満宮の麓、その駐車場脇に広がる芝生の隅に、何に使うのか屋根が掛かっている。誰も訪れる人がいない、といえば言いすぎかもしれないが、すぐ隣にあるそば屋さんは営業している気配もなく、少なくとも人家から見えはしない、というより近くに人家がない。雨が心配される今晩なだけに、屋根はありがたい。おまえら、そんなところに泊まるのか、と突っ込みを入れられそうだが、もっといいところがあるなら紹介頂きたいものである。


 島根県立美術館は、宍道湖の東の端に立つ。ここのユニークなところは宍道湖に沈む夕陽が美しいところから、閉館が日没の30分後に設定されていること。建築もそれが考慮に入っていると見え、宍道湖側はガラス張りである。島根県はここの他に、もうひとつ石見に県立美術館を持つ。翻って我が埼玉を見てみれば、人口は島根の、実に10倍以上を擁するにも関わらず、駐車場の用意もない県立美術館が一つあるのみ。恥ずかしながら、文化果つるところ、といわれても返す言葉がない。


 展示は「常設展だけでもかなりのボリューム」というメモが残るのみだが、企画展は藤城清治の影絵特集だった、という憶えがある。入館が遅かったのと、企画展にもうひとつ興味が向かなかったことで、常設のみに限定したのだと思う。陽はかなり西に傾いていたが、雲がかかり、日没の瞬間は拝めそうになかった。

 

  

            日が西に傾きかけた島根県立美術館で日記をつける


 松江市内に入っていく。「月照寺」は小泉八雲の小説に登場するので有名だが、ここで今晩、盆供養が行われる、という情報はどこから入ったのだったか。買い出しついでに覗いていくかと、近くにあるスーパーに駐車した。結局、月照寺は人が押し寄せていたせいで、外をかすめて通っただけに終わった。スーパーでは、半額の札につられ、牛ステーキ肉やしゃぶしゃぶ用の高級肉を買ったことがメモにある。


 来待に戻って、「大森の湯」。お盆休みの最中だけあって、8時過ぎというのに、「凄い」と形容できるほどの混雑ぶりだったが、風呂そのものは気分が良かった。何種類かバリエーションのある、今時の日帰り温泉施設だが、思った以上のキャパシティーがあったのだろう。


 テン場はすぐ裏手を流れる小川のせせらぎが聞こえるのみ、涼しくて快適。結局、雨はたいしたことなく済んだ。

 

 


2008山陰16 につづく