2018宇治3 興聖寺 | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

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趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

2018春の旅 宇治 醍醐 黄檗 坂本(3/26~30)その2

 

3/27(火)①
 天竜川畔のテン場を後にし、新東名に乗って西に向かい、伊勢湾岸道へと入っていく。湾岸長島SAに休憩で立ち寄ってみると、奥に足湯があるのを発見、なるほど、そういえばここは温泉場、暫く浸かっていくことにした。足湯ではあるが、女性用の更衣室があるのは気が利くサービスだ。ストッキングをはいているようなケースで、これは是非欲しいところに違いない。

 

湾岸長島SAにある足湯につかる


 こんなところを見るにつけ、SAも変わってきているな、と感じる。むしろ、かつての高速道路営団が独占してきた、いかにもお役所然としたSAの運営を改めるのに、こんなに時間がかかったこと自体に疑問を持つべきなのかも知れない。自由競争は資本主義の最も基本をなすものであるはず。


 さっきトイレの入り口で見かけたダークスーツに身を包んだおじさんたちの団体は、腕章に「愛知県神社庁」の文字が見えた。きっと伊勢神宮の参拝にでも行くのだろう。一応は威儀を正して、という姿勢は理解するが、昔からお伊勢参りは楽しく行くものだ。おじさんたちも、どうせおはらい街で一杯やって、いい気分になるに違いない。


 我々も一昨年の夏は伊勢に行ったが、宮川の河口近くにある、ラブリバー公園もテン場としてはこれ以上ない程のところだ。さて、これからの目的地をどこにする?

 

その時の記事はこちら

 

 琵琶湖もいいし、伊勢もこれまた悪くない。あれこれと迷ったが、結論としては宇治に向かうことに決めた。今回はお茶と桜が目当てである。


 宇治東ICを出た頃にはもう昼時になっていた。どこかで昼飯を、と物色しつつR24を南下すると、まもなく右手にあるイタリアンレストランが目に入る。章湖は「直感」、とメモを残しているが、まんざら当たっていないわけでもなかった。先客は4組ほど、この店の厨房は、シェフ一人でやっているかのようでかなり待たされたが、出された料理はどれも良かった。ランチのコース、前菜にパスタとピザという、まあオーソドックスなイタメシ。

 

  隣に娘らしい人と来ていたおばあさんは、料理を待つ間にグラスワインを2杯も空にしていた。出来ることならああしたいものだが。

 

R24づたいで見つけたレストランでランチ


 宇治はかつて一人で平等院を訪れたことがあるが、その時は肝腎の鳳凰堂が修復中だった。今回、二人では初めてとなるが、こんな時いつも困るのが駐車場だ。今回はどうなるだろう。


 宇治橋北詰めの交差点を左に入る。目標はこの路地の先にある「匠の館」だ。例のBS でやっていたテレビ番組で、若い女の子が利き茶に訪れたのがそこ。前にも書いたが、これが誰だったのかは記憶から既に失せている。利き茶を全部当てたのはさすが、と思ったが、是非これにチャレンジして、宇治茶、とりわけ玉露のなんたるかを知りたいと考えたのだ。


 しかし、宇治川づたいのこの路地に踏み込んでみると、すぐに後悔することになった。何しろ観光客で一杯の、車のすれ違いもやっとという細い路地だ、この季節のこの時刻に車を乗り入れるところではなかった。川づたいには桜が植えられ、見事に満開の様子だが、これを楽しむ余裕は、少なくとも今はない。


 観光客が気がついて避けてくれるのを待ちながら,ノロノロと車を前に進ませる。アクセルより明らかにブレーキを踏む時間が長い。なんだよこんな所に、と振り返りざまにいやな顔をされることもあるが、自分が歩行者ならやっぱりそうするかも知れないと思う。避けてくれた人にはなるべくお辞儀をするか、手を上げて応えるようにしている。一般的に、路地のすれ違いで待ってくれる車に挨拶するのはよくある光景だが、歩行者に対してはどうだろう。


 路地に入って間もなくは観光客目当てのお店がひしめいていたが、次第に周囲の緑が目に入ってくるようになる。赤い欄干の橋を渡り、更に行くが、すでに「匠の館」を通り過ぎてしまったことがナビで確認できる。この分だと、匠の館に駐車場の用意はなさそうだ。

 

 「亀石楼」という看板は料亭か、あるいは老舗の旅館だろうか、ここから道は一段と細まり、このままだとちょっとまずいなと思うが、先へ行くとまた少し道幅が回復しホッとした。Uターンして戻ってくると、この道の山側に坂道がついていて、奥にあるのはどうやらお寺らしい。

 

興聖寺の白い山門
 

 とりあえずここかな、と思い、石垣が見事な参道の坂を上がっていくと、正面に白い漆喰塗りの山門が見えてきた。「興聖寺」だ。駐車場は幾分傾斜のある、ただの広場だが、こんな場所にある割に停まっている車は少ない。寺は外観からすると、どことなく禅寺の雰囲気があるが、果たして曹洞宗のお寺だった。拝観\300、これも何かの縁と考え、とりあえず入ってみることにする。

 

庭園を含め、いい寺と思う


 興聖寺はすごい文化財を持っているわけじゃないが、寺の建築も立派で、庭園も実にいい感じ。こんな評語で済ませて申し訳ない気はするが、仏像は小ぶりだが優れた造形のものがいくつもあって、寺そのものも禅宗様の形式をきちんと踏まえたものとみた。途中で逢ったここのお坊さんは、今日の陽気で、朝とは違った景色になっている、と言った。桜の開花が一段と進んだ、ということだろう。その言葉通り、この寺の桜は満開に近い。

 

仏像は小ぶりながら、素晴らしいものが多い

 


 

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