早いもので議員活動も3年が過ぎました。右も左もわからない中のスタートでしたが、私なりに知識を徐々に身につけることができたとお思います。自分が愛する郷土のことですので、

とてもやりがいを持って携わらせていただいております。

議員活動4年目です。改めてよろしくお願いします。

(写真:3月12日一般質問時です。前夜に財政のデータ分析をし始めたら面白くなって...深夜まで取り掛かったことで目の充血と疲労感があります...)

 

さて、行政会計の区切りは3月末締め、4月より新年度会計が開始になります。

そのR6年度予算が先日行われた3月議会(定例議会は年4回開催)で可決されました。

 

村の未来を左右する村政予算の内容を簡単に解説します。

 

まず、村の予算は大きく分けて8会計あります。

・一般会計

・介護保険特別会計

・国民健康保険特別会計

・後期高齢者医療特別会計

・小水力発電事業特別会計

・水道事業会計

・観光施設事業会計

・下水道事業会計

 

総額を合わせると

76億9,669万8千円

前年比 8億8,089円増 率にして112.9%の増額です。

 

多いのか? or  少ないのか? 普通なのか..?

 

私は「多いと思います。」

ちなみに*一般会計額で見ると

(*一般会計とは:税収を元に住民のために使われる予算であり、会計の中でも最も地域の色、あるいは首長の方針が表れる会計であり住民が注目すべく会計のひとつと考える)

R436億円

R543億円

本年度は51億円

 

R4年の36億時点で村民一人当たりの額は100万前後

通常の自治体では一人当たり30万〜50万円ほどです。

本年度に当てはめてみましょう。

 

一人当たり150万前後まで膨らんでおります。

 

かなりの額です。

なぜここまで膨れ上がっているのか?

それは、予定事業が多いことと大型の事業がいくつか重なることが大きな要因です。

 

(R4年度予算の際に人口に対しての一般予算の人口単価に触れた記事を書いていました)

詳しくはこちら↓

 

 

現在当村は行政規模が大きくなったり特殊な税収があるわけではない中で、なぜこんな予算になっているか?できるのか?と言うと...

 

行政は地方債の発行をうけれるからです。つまり借金をして事業を進めることができます。とくに現在、多くの地方地域が過疎化の課題に直面し、国から過疎指定地域というものに認定されるケースがあります。指定地域になると非常に非常に有利な起債(借金)を起こすことができます。本来、過疎地域として喜ぶことではないですが、現在は過疎指定地域となっていることから例外なく有利な借入(返済の一部を国が補填)を行い、行政規模以上の事業に取り組むことができます。観光産業が主として過疎脱却を図ろうとする自治体にとってはとてもありがたい施策だと認識しています。もちろん観光だけではなく住民生活に直結する施設の更新、環境整備などもこの過疎債を適用して基盤整備されてきました。

 

当村は令和3年に再認定を受けてから向こう10年間有効となっているため、必要な施設整備などを行うことができるという状況です。

 

現状と投資の考えは賛否ありますので一旦置いておいて(改めて解説)

本年度予算内容の説明を行います。

 

まずは主な一般会計の新規事業を紹介します。

 

教育関係では

■中学校エレベーター設置工事【6,090万円】

学校施設のバリアフリー化に対応するため、中学校にエレベーターを設置。

昨年は小学校に設置済み。

(野沢温泉中学校)

 

■GIGAスクール事業【4,620万円】

小中学校のタブレットを更新。

現在1年生からタブレットを利用した授業展開が行われています。

今季、全て入れ替えを行います。

(タブレットの集中管理、充電ボックス)

 

以下の工事には辺地債

(辺地とは交通条件や自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれず、他の地域と比較して住民の生活文化水準が著しく低い山間地などを指し、国から有利な起債を受けて環境整備することが可能)を活用しての取り組み。

■農業用施設新設改良事業【1,720万円】

重地原地区に水路管理道路を新設する。

■村道拡幅改良工事【3,960万円】

村道平林109号線の拡幅工事を行う。

(写真はイメージです。実際の事業箇所とは異なります。)

 

■真湯及び新田村民住宅取得事業【1,810万円】

中古住宅を取得し、村民住宅としての活用を図る。

↑近年不動産取引が活発ですが、村民の土地所収者が村で有効活用してほしいということで行政が買い取ることがあります。

住宅不足課題に対してとてもありがたいことであり、取得後にはリフォームなどの予算が組まれ有効活用される計画。

 

↓最後に今年度の目玉とも言える事業ではないかなと感じてります。

■地域おこし協力隊事業【2,420万円】

健康増進施設(スパリーナ内)及びDMOに従事する隊員にかかる費用。

■野沢温泉スパリーナ改修事業【5,570万円】

プールの改修、水処理装置の更新、リラックスルームの健康増進施設への改修を行う。

 

↑人員不足の中、村外からの力、知識を借りるべく地域おこし協力隊の募集があり本年度5名の採用が予定されています。

新たに加わる協力隊は、我々の長年の要望(私を含むスポーツ愛好者やインバウンドのお客様)でもあったスポーツジムの設置事業や学校施設のプール廃止に伴うスパリーナへの移設工事などがこれらの予算になります。これとは別にスポーツジムの器具導入予算として1000万程の計上もあります。

また、観光地域法人DMOの設立運営に伴う外部人材の雇用予算などが含まれます。

DMO立ち上げということで村から補助金として2,882万円も含まれます。今後、村かの補助なく独立した運営を目指すことになると認識しています。

 

・一般会計主な継続事業

↓本年度着工予定でしたが、建築費の高騰により建築は1年先送り。本年は解体のみ。

■新こども園建設事業【3,000万円】

新しいこども園の建設に向けて、プールの解体工事を行う。

 

↓DX化は費用と人的労力が小規模自治体にはかなりの負担になってきています。

■自治体DX推進事業【1億3,930万円】

自治体情報システムの標準化、ガバメントクラウド移行等を行う。

 

↓道の駅は今後民営化され、酒類の販売なども行うことになる。順調にいけば地ビールやクラフトジン、ウィスキーの販売も想定。

■道の駅・6次産業化施設の運営【1億2,670万円】

道の駅野沢温泉と農産物の加工販売等を行う6次産業化

施設を運営する。民営化に伴う指定監理委託料を含む。

 

↓スタカコキャンプ場の管理棟が新しくなると同時に指定管理者の見直しも視野に入っている。

■巣鷹湖キャンプ場管理運営事業【1億1,760万円】

巣鷹湖キャンプ場施設の再構築を図るため、6年度は管理棟の建設を行う。


↓R6年の大型事業の2つ

■無電柱化推進事業【1億8,920万円】

温泉街の無電柱化に向けて、電線共同溝設置工事等を行う。

3カ年計画で工事を進める。

 

 ■横落第4村民住宅建設事業【4億5,660万円】

移住定住の促進を図るため、単身世帯用の村民住宅の建設を行う。

秋に完成予定で12世帯が新たに受け入れ可能になる。

西側に障害となる建物がないので綺麗な夕陽が眺められるのではないでしょうか?

現在、地域の最重要課題となっている住宅問題。予想はされていましたが村内の中心物件売買が加速しています。地域の文化や秩序を守ってきて村民が確実に減少してきています。中心地の地域コミュニティ空洞化を私はかなり心配しております。

 

■おぼろ月夜の館施設改修事業【2,720万円】

展示室の老朽化に伴い、より観閲しやすいレイアウトを目指し、内装改修を行う。

長年レイアウト変更がなかったが、本予算で展示品や展示方法の変更が行われる。

内容は審議委員会で検討予定。

 

その他

■温泉公園施設改修事業【2,970万円】

老朽化した麻釜温泉公園施設「ふるさとの湯」の施設改修を行う。

■医療検査機器購入事業【910万円】

診療所のレントゲン機器一式を整備する。

 

まだまだたくさんの事業があり、ほんの一角でありますが主要と思われる事業の紹介でした。

 

ちなみに、本年の大型事業の一つでもある新たな再生可能エネルギー事業「本沢小水力発電事業」について。

本沢の小水力発電事業として長坂ゴンドラで利用する電力を発電するための工事が予定されていますが、厳密にはR5年度予算に計上され繰越事業となっているためR6予算には含まれませんが総額4億3千万程の事業費で予定されています。(当初予定は3.5億であったが、物価高騰や追加工事で8千万円の増額)

(長坂ゴンドラより本沢を望む)

 

・小水力発電事業特別会計

既に稼働している「まくね川」の水利を活用した小水力発電施設の運営管理を行い売電収(2,000万円)の一部(250万円)を下水道事業会計(農業集落排水事業)に繰り出している。

 

・水道事業会計

■下水道管渠長寿命化事業【1,309万円】

公共下水道管の管更生工事を行う。

■農業集落排水施設機能強化事業【770万円】

七ケ巻農業集落排水施設の詳細調査、維持管理適正化計画作成を行う。

 

・下水道事業会計

■長坂配水池配水流量計更新工事【1,200万円】

老朽化した流量計設備を更新。

■上ノ平減圧槽フロート弁更新工事【90万円】

老朽化した減圧槽フロート弁を更新する。

(長坂ゴンドラ乗車直後、写真右上に長坂の貯水所があります)

 

上下水道は公営企業会計と言われ損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を作成することで、 その事業の経営や資産状況をより正確に把握できるような仕組みになっています。

野沢温泉村は近隣市町村に比べて下水道の整備事業着手が驚くほど早く、昭和の観光発展とともにインフラ整備が急激に整いました。

また、傾斜地であり水源豊富、水質良好といった好条件に恵まれていることから水道料金の安さも小規模自治体(村)としては全国トップクラスです。

一方で敷設から40年近く経ち老朽化も進むことから今後は老朽化対応なので住民負担が増えてくるのではと個人的には懸念しています。

 

・観光施設事業会計 ← スキー場のリフトなど村が保有する設備の維持管理を行う。スキー場運営は株野沢温泉であり、施設の所有者は野沢温泉村行政となっている。

 

■上ノ平フォーリフト制機器改修【1億1,000万円】

■やまびこ第2フォーリフト制機器改修【1億1,000万円】

老朽化したリフトの制装置等を改修し、安全運行を担保する。

老朽化が進むリフトが多い中、本来であれば新設掛け替えといった選択肢となるところですが、投資予算の関係で一旦は機器の改修に取り掛かかるというのが現状です。

今後は日影ゴンドラの掛け替えなどが喫緊の課題のように私は捉えています。

 

 

巨額な予算について一気に書きました。

これだけでは何か正しく、何か無駄なのかわかりにくいとは思いますが... 行政が3月議会でこの予算内容について議員に説明を行いまして、その後の委員会時にさらに細かな内容説明が行われた後に、個別の事業について質問し確認することができます。

 

各議員は予算に納得できる情報を得るために質問を行い、予算や事業の妥当性を見極め最終日に予算に賛成できるかの意思表示となります。

R6年度予算については大型の予算になったため多くの質問や議論がありましたが議員全員の賛成をもって採決されました。

 

個別の事業に対して不安が多いものもありますが、予算案として一括賛否の意思表示となるためある程度は行政側を信頼し村民から選ばれた首長のやりたいことを理解し意思表示をすることになりますので、1事業反対で全予算案反対ということは非常に難しいのが現状です。

 

今後は実際に事業が進んでいく中で都度チェックをしていくのが議員の仕事ですので、本年度の事業を引き続き注視していきたいと思います。

 

なお、冒頭で触れた起債額(借入)については長期的に見ると不安要素も多いように感じています。改めて記事化したいと思っています。

 

最後まで見ていただいた村民の皆様、あるいは野沢ファンの皆様ありがとうございました。

引き続き、興味関心を持っていいただき「よりより豊かな村」になるよう、ご意見いただけたらと思います。

 

よろしくお願いします。

上野雄大

 

追記

3月に思いがけぬ降雪がありゲレンデ状況が復活しました。

ゲレンデの様子がわかる映像ありますのでどうぞ。