学校リスクマネジメント推進機構の鈴木彰典(すずきあきのり)と申します。
当機構では、全国の教職員の方々にメルマガを配信し、
学校危機管理情報をお伝えしています。
とはいえ、アメーバブログでは、教職員以外の方にもお伝えしております。
本日は、年度末に起こりやすい情報漏えいについて、
情報提供させていただきます。
学校現場はこれから年度末を迎え、一年で最も慌ただしい時期に入っていきます。
成績処理、通知表の作成、指導要録の作成、次年度への引き継ぎ資料作成など、
正確さが必要な業務が短期間に集中します。
このような状況の中で、
教職員は常に時間に追われながら作業を進める状態に置かれます。
私も校長時代を振り返ると、この時期は、人事評価資料作成、
来年度の校内人事案の作成、保護者(特に不登校児童生徒の保護者)面談、
教職員との打合せなどを次々に行い、集中力が低下することがありました。
この他に、生徒指導対応や保護者対応が起きると、
息つく暇がない毎日だったことを思い出します。
年度末は、どれだけ注意しているつもりでも、
集中力や判断力が低下しやすくなります。
その結果、さまざまな事故が起こりやすくなります。
本日は、年度末に起こりやすい情報漏えいに焦点を絞って情報提供します。
1.なぜ、情報漏えいは年度末に起きやすいのか
情報漏えい事故の多くは、悪意によるものではありません。
宛先の選択ミス、添付ファイルの間違い、確認不足といった、
いわゆるヒューマンエラーによって発生しています。
年度末は、
〇業務量の増加
〇複数作業の同時進行
〇時間的・心理的な余裕のなさ
などが重なります。
さらに、成績や生徒指導記録など、特に慎重な扱いが求められる
個人情報を扱う場面が増えることも、事故リスクを高める大きな要因です。
2.ヒヤリ・ハット事例
①教員限定のメールが外部へ
年度末、成績処理と指導要録の作成が重なり、
慌ただしい日々が続いていました。
学年内で共有する目的で、生徒指導に関する資料をメールで送信しました。
宛先は、普段から使用している教員向けのメーリングリストでした。
いつも通りだから大丈夫だろう。
そう思い込み、宛先をきちんと確認しないまま送信してしまいました。
翌朝、学校に保護者から1本の電話が入りました。
「昨夜、学校からメールが届いたのですが、
生徒に関する資料が閲覧できるようになっています。
これは一般の保護者が見ても良い内容でしょうか。」
その連絡で初めて、
生徒や保護者が閲覧できる宛先が含まれていたことに気づきました。
すでに学年の生徒や保護者宛てに生徒指導に関する情報を
メールで送信してしまい、生徒や保護者への対応に追われることになりました。
②授業後の再開作業による誤送信
通知表作成の最終段階を迎え、
成績データの修正作業を行っている途中で
授業の時間になり、作業を中断しました。
授業後、職員室に戻り、作業を再開しました。
修正箇所の確認が済んだと思い込み、
修正がきちんと終わっていない成績データを添付して、
メールで送信してしまいました。
その日の放課後、ある生徒から担任に声がかかりました。
「先生、この成績、前に言われていた内容と違うと思います。」
確認したところ、修正前のデータを送信してしまったことが判明しました。
すでに生徒や保護者が確認しており、
訂正説明と謝罪対応に多くの時間と労力を要することになりました。
3.事例から見えてくる共通点
これらの事例は、決して特別な操作ミスではありません。
〇慣れによる思い込み
〇作業の中断と再開
〇確認したという思い込み
といった、学校現場では日常的に起こり得る状況の中で発生しています。
そして最も注意しなければならないのは、
一度送信してしまった情報は、多くの人の目に触れるという現実です。
メールは一瞬で学校の外に出てしまい、完全に回収することはできません。
4.情報漏えいを防ぐために、今できること
情報漏えいを防ぐためには、
「注意する」「気をつける」といった精神論だけでは不十分です。
人は必ずミスをするという前提に立ち、
仕組みで事故を防ぐ視点が必要です。
例えば、
〇送信前に宛先と添付ファイルを必ず確認する
〇個人情報は可能な限りメールに添付しない
〇パスワード付きファイルや校内システムを活用する
〇重要な情報は複数人で確認する
といった、具体的な行動の積み重ねが事故防止につながります。
5.まとめ
情報漏えいは、特定の誰かの問題ではありません。
慌ただしさの中で誰にでも起こり得る学校全体のリスクです。
情報を守ることは、児童生徒を守り、学校の信頼を守り、
そして教職員自身を守ることでもあります。
これから年度末を迎える今こそ、「その一通」の重みを改めて意識し、
落ち着いて業務に取り組んでいきましょう。
PS
当機構にも、情報漏えいに関するご相談が寄せられています。
時期は年度末とは限りません。
どのように対応したらよいか分からない場合は、
当機構にご相談ください。
電話:03-3221-5657