映画「永い言い訳」 観ました。

大当たりでした。





2016年公開 主演 本木雅弘

奥さんが旅行先の事故で亡くなった、そのとき不倫相手と寝ていたという最低な男の、その後の人生の話。


設定から最低ですが、やっぱりずっと最低な話。

最低な話に没入できる大人になってしまったなぁぁ。






太宰治の「人間失格」に似てます。


人間失格とは、ピース又吉直樹が言うには「あれはなぁ、、聖書やねん」

聖書とは「人間のあらゆる悩みが網羅されているもの、誰が読んでも'これは私のことだ!'と天啓を受けることのできる本」だそうです、オタキング岡田斗司夫氏いわく。


(熱心なキリスト教徒さんからすると、余りに乱暴で不信心な説明かもしれません。申し訳ない。)







私は人間失格の結末が明確に嫌いです。

小説だけ読めば、主人公は「一切は過ぎていきます」とか寒々しいことを嘯きつつも、

案外しぶとく見苦しく長生きしたかもしれないのですが、

作者が死んでるので、やっぱりすぐ死んだのでしょう。


ダメな生き方してきたダメなやつだけど、死ぬことないやん、、

ダメなやつらしく、ダメなまま楽しく生きればええやん。。

と思ってしまうのは現代的な価値観でしょうか。

彼も、戦前の失われた日本的な何かと去ったのでしょうか。






人間失格に似た話は古今東西たくさんあります。

(というか、人間失格が悲劇としての完成度高過ぎてテーマが普遍的過ぎて、

救いの無い設定だと、だいたい似てしまいます。)


永い言い訳もそんな話の一つ。







人気作家の幸夫は妻を事故で失うが、ちょうどその時に不倫相手と密会しており、世間に対して悲劇の主人公を装う事しかできなかった。ある日、幸夫は同じ事故で亡くなった妻の親友の夫と子供たちと出会い、ふとした思いつきから、幼い彼らの世話を買って出る。子供をもたない幸夫は、彼らとの交流を通し、誰かのために生きる幸せを初めて知る。


買って出たのは自分ですし、子どもたちとも結構良い関係を築くのですが、

そこは不倫男、「自分はクズで、嘘ばかりついて、妻の死とも向き合っていない、このままでいいのか」とずっと引っかかり続けます。

この経験をネタに一本新作を書こうという自分の企みも、また自己嫌悪を深めます。

中盤、彼の編集者が核心をつきます


「わかりますよ。子育てって、免罪符ですからね」






なんてどストレートにえぐる台詞。

そうなのです。世間では、子育てはたいへんで、リスクがあって、立派なこととされていますけれど、

実は当事者にとってはそうでもない、麻薬のように幸せで案外誤魔化しのきくことなのです。


しかし、そうは言っても、人との繋がりや仕事以外の一体何で、人は何かを乗り越えるというのでしょうか。





「妻の死を考え続けて行きたい」

「死んでざまあみろと思ってんだろ!」

自分の口から出る、どれが本物かもわからぬ言葉。


重なる自己矛盾に耐えきれず、

彼は子どもたちに酷い言葉を投げかけて。

「どうしてこうなっちゃうんだよ、、」




映画の中で子どもたちは大きく成長しますが、

主人公は全然成長しません。

クズのまま。大人って成長しませんから。


これは、嘘と言い訳に塗れた大人が、

そのままを許すか許さざるかというお話しなのです。




結果、なんとか関係は修復され、

書き上げた本もヒットして、周囲からは祝福されますが、

彼の心中は彼しか知らない。。







キツかったですね。

しかし、こういうダメな男に共感して、

なんだか愛おしく思うような、そういう大人になってしまった。

それも悪いとも思わない。


嘘つくし、都合よく利用しちゃうし、

自分の感情と向き合わずに後回ししちゃうよなぁ。


そして、時代も、そういうの肯定しちゃうくらいに人間失格の頃とは変わってしまったんだよなと思いました。


感想おわり。





アマプラで見れます。

「は〜あ」てなりたい人におすすめ。

本木雅弘がイケメン過ぎる点はずるい。



おしまい。






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