“絵をコレクトする上での楽しみ方・お作法。”

絵をこれから収集していきたい、コレクティングをしてみたい方へ向けての1.-6.のチャプターに分けて、楽しみ方やお作法をアーティストとコレクター視点でお話しさせて頂きます。

チャプター

1.アートコレクトとは 
2.好きなものを買う(若手アーティスト編)
3.欲しいと思った時が買い時な理由
4.短期保有ではなく、長期保有する理由
5.ギャラリーとの付き合い方・相性
6.最後に

1.アートコレクトとは
→アートコレクトとは、絵画、彫刻、古美術、何でもよいのですが、特にこの時代の生きている作家・アーティストの作品を収集する事によって、アートはあなたの人生をより豊かにしてくれるものです。そして、何よりあなたが収集することによって、日本のアート業界の”文化の形成”そして”社会貢献”に繋げることができるのです。その理由を紐解く為に、このブログでは文章を残して参りたいと思います。どうぞ、最後までお楽しみ頂けると幸いで御座います。

2.好きなものを買う(若手アーティスト編)
→まず、最初に思う事はどんな作品をコレクトしていったら良いのか分からない方が多いと思います。現代アートの購入方法は、多岐に渡ります。若手だと作家・アーティストから直接交渉し、買う方法があります。特に若手(駆け出しアーティスト)に関しては、貸しギャラリーというアーティストがギャラリーに直接お金を支払い(出店料)、若手(駆け出しアーティスト)が作品を展示しているギャラリーを貸しギャラリーと一般的に呼びます。また、芸術祭や学祭からでも直接アーティストにアポをとり購入する方法がございます。次に紹介するのは、企画ギャラリー(コマーシャルギャラリー)で買うという方法になります。企画ギャラリーとは、ギャラリーは作家からは出店料などのお金を取らずに、作品が売約した場合のみの売り上げをギャラリーとアーティスト側で分配して、運営するをギャラリーのことを指します。どちらもまず、メリットとデメリットがあるので簡単に紹介します。

⭐️若手(駆け出し)貸しギャラリーで作品を買う
メリット:比較的、安く作品を買うことができる(掘り出し物があるかもしれない。)
デメリット:アーティストが辞めてしまう場合がある(単にアーティストだけでは食べていけないので辞めてしまう場合がある)

⭐️若手(売り出し)企画ギャラリー・コマーシャルギャラリーで作品を買う
メリット:これからギャラリーで売り出す(ギャラリーで推している)、アート界を牽引するアーティストの作品が買える可能性が高い。また文化形成や資産形成としても期待できるアーティストに成長する可能性が高い。基本的にアーティストが食べて行ける場合、作品づくりを辞めることはない。
デメリット:価格は、比較的高め。資産形成としては、アーティストの人気度にもよるが長期保有が当たり前、5-10年以上は必要になる。

ここでお伝えしたい事は、「好きな作品を買う」という事がポイントになってきます。基本的に肌感覚としては、現代アートは特に「よく分からない作品」が多くなってきます。「よく分からない作品」でも、なんか気になる時には直接アーティストかギャラリーから説明を受けて、納得した時に買う事をおすすめします。基本的にはアートは長期的な保有がポイントとなります。そうした上で、長く保有することを考えた上で「好き」という気持ちが大切になってくるのです。ダメな例としてあげると、将来「価値が上がる」という謳い文句で買うことは避けた方がよいでしょう。なぜなら、好きでもない作品を購入することはアーティストに対しても失礼に当たるからです。またコレクトする側も「好きでもない作品」が家にあっても長く持つことが出来ないのでお互いにとって不幸を産むことになるからです。最初から、「価値が上がろうと・直ぐには上がらないと関係なく作品を保有できる喜び」を大切にできる事を大切にコレクトして行った方がよいのでしょう。

3.欲しいと思った時が買い時な理由
→まず基本的にアートの「価格」と「価値」は下げられない様に企画ギャラリー(コマーシャルギャラリー)では設定されています。まず、アーティストの人気度を決めるのは簡単に言えば”需要”と”供給”によるものです。”需要”が高ければ、アーティストの作品の「価格」が上がるシステムになっています。なので、安い内にアートを買うには、今買うことをおすすめする理由です。また、20xxのアーティストの過去の作風の作品が欲しいと思った場合、基本的にセカンダリーを待つことしか手に入れることが出来ません。セカンダリーとは、2次流通のことを指します。簡単にいうと、ヤフオクとかメルカリのように中古市場の事を指しますが、アートが違うところは中古でも「価格」や「価値」は下がらないというところにあります。ギャラリーやアーティストから新作などを直接買う場合をプライマリー(1次流通)と言ったりもします。アーティストの作品や感性は、日々変わっていくものなのでどんどん”作風”が変わっていきます。なので、その時に「好きだ!」と思った時が買い時な理由です。

4.短期保有ではなく、長期保有する理由
→買った作品を売買するのは、ギャラリーとのビジネスであり基本的にはお客様の自由です。しかし、作品を持って1.2年で手放すことや作品を飾らずに売買していると
ブラックリスト入りに入ってしまう場合がございます。ブラックリストに入ってしまうとよい作品を売ってくれなくなったり、エントリー販売の場合も作品を持って頂きたいお客様としては順位が低くなってしまったりする場合がございます。この辺は、アート業界の”お作法”になってきます。何故、その様なシステムになっているかというと、ギャラリー側もアーティスト側も「転売」については厳しくチェックしているからです。それは、作品の「価値」や「価格」を守るためでもあり、ちゃんとアートをお客様へ作品を長く保有して頂き、楽しんでもらうための”工夫”を凝らした結果なのです。1.2年でアートの「価値」や「価格」が上がるアーティストはほんの一握りのアーティストなのです。人気でもその反動で、値崩れしない為に徐々に「価格」は、慎重にギャラリーもあげていきたい為、5-10年長期保有することがアートを購入する上での”お作法”になってきます。

5.ギャラリーとの付き合い方・相性
→日本には様々な流通の仕方、売り方のギャラリーが存在しております。まず、いい作品を売って欲しい場合はいいお客さんにならなければなりません。それは、上記でも書いた通りアート業界の”お作法”をちゃんと理解してアーティストやギャラリーにも敬意を払ってくださるお客様は、ギャラリーからも大切にされるお客様になることが出来ます。また、ギャラリーの対応が悪かったり、嘘をついたり、そう言ったギャラリーとは付き合わない方がよいでしょう。どうしても、そのアーティストの作品が欲しい場合は、我慢をして付き合っていくしか他にはありませんが。基本的には長く付き合えるギャラリーやアーティストから作品を買うことをおすすめします。

6.最後に
→なぜこの様な文章を残すかと言うと、安全に楽しく、そしてお客様へは、よいコレクト生活をして頂く為に必要な知識だと思ったからです。またアート業界の事やアートを気軽に楽しんで頂く為にも必要な情報を提供したいという考えの元まとめてみました。私は日々、「アート」の持つ可能性を探っております。最初に”文化の形成”や”社会貢献に繋がる”とお話しさせて頂いたのですが、これはまさにその通りです。作品の「価値」や「価格」を決めるのはお客様次第であり、ちゃんと後世に残るものは「売れたもの」と私は思っております。それが、またあなたの買った作品が将来、美術館や何らかの形でより多くの人に目に触れる機会が訪れるかもしれません。その時に、”文化を形成”したコレクターとしてあなたの名前や活動も後世に伝わるのです。それは、”社会貢献”に繋がるのかもしれません。また、アーティストやギャラリーが存在できるのは、お客様無しでは成立出来ないことであります。アーティストが新作を作り続けていけるのもコレクターの皆様の存在が大きいのです。
後々、コレクトしていった作品の「価格」や「価値」が上がることによって、それを「買う」という決断をした自分自身の「審美眼」を後から味わえるのもアートを楽しむ上で1つの楽しみなのかもしれません。でも、私は「審美眼」があろうとなかろうと、アートという文化でもあり娯楽でもあり、一つのコンテンツとしてでもあるアートの「価値」や「価格」を作り上げていくのには、アーティストやギャラリーやコレクターや、キュレーターの存在があって初めて成り立つものだと思っています。アートという”文化”を一緒に作り上げていくものなのです。是非、アートライフを一緒に楽しんで参りましょう。長文を最後までご拝聴くださり、誠にありがとうございました。何か質問や、ここは違う!など、疑問に思った事はコメントにお寄せください。

私もまだまだ未熟ものでは、あります。
何卒、今後ともよろしくお願い申し上げます。



「国立市の何でもない風景。」

1170×910(mm)2023 (year)




深澤雄太

画家、現代アーティスト

1996 東京都日野市生まれ、2019 に東京藝術大学 絵画科 油画専攻 卒業している現代アーティスト・画家。自身の「何でもないような日常」をテーマとしながらも、鑑賞者にはあたかも自分が過去にみたことのあるような風景を彷彿とさせる。それは、郷愁やノスタルジーとも言える。

近年では、アート系完売特集雑誌の掲載やKinKi Kidsのブンブブーンでの出演でお笑い芸人:霜降り明星せいやが番組内で作品を購入している。