【底の底の底】
人生には波があるように、作品の売り上げにも波はある。正直言えば今、かなりピンチな状況です。
2018年、アートバブルの反動でバブルの時に売れた作品は今安く買い叩かれ、その時に投資目的で購入した層はごっそりとアートを買わなくなり、いつでも買える状況が続くことでアート購入の先送り、もしくは消費者はアートへの興味をすっかり失っている。
現実社会でも、物価高や値上げなどにより、より人々の財布の紐は硬くなった。そして、株などの投資の方へとお金は流れアートにお金が流れることはすっかりなくなってしまった。未だにアート業界の景気が回復する見通しがない状況である。
作品が売れないにしても、去年が底かと思えば今年はもっと酷くなっている。これはもう、ギャラリーが潰れるのか、アーティストが先に潰れてしまうのか、持久戦にかかっている。非常に苦しい状況だ。
非常に苦しいのだが、私自身も新たな企画と共に大きな一歩を踏み出すなど、工夫を重ねながら何とか耐え忍んでいる状況だ。ギャラリー自体も作品の売り上げに頼るのではなく新たなビジネスへの移行をし、イベントなどを打ち出し耐え忍ぶ工夫をし始めているようだ。
今の作品の販売事情を明かすと、お客さんはよほどなお得感を感じなければ作品を買ってくれない。制作するだけでなく、作品のクオリティは勿論のこと、傑作であること。充実した作品説明や制作過程の配信、コマーシャル、あらゆる手を施してやっと1枚売れる状況だ。
材料費も時間も、アトリエの家賃だって毎月山のように支払いがある。ギャラリーだって人件費やイベント開催費や会場代など多額の資金が必要である事が予測される。
このままでは、ギャラリーやアーティストは潰れてしまう。多くのギャラリーが潰れれば、その行き先を失ったアートファンは他のギャラリーに行きつきパイは取れるかもしれないが。アート業界が収縮していることに変わりはない。
アーティストも黙って作品だけ制作していれば自然と作品が売れる訳ではなく、作った作品を宣伝し、アーティスト自らブランドの価値を上げ、新しいお客さんを呼び込まなければこの状況を乗り越えることはできないだろう。
底に着いたかと思えば、まだ底がある。そんな泥沼状態に多くの若手作家はハマってしまっている状態にある。
そんな状況を打破すべく、深澤雄太は新たなアート購入の考え方を打ち出します。それは、アートは投資目的ではなく「寄付」で賄うべき考え方でアート購入はされるべきだということです。
勿論、アートに金銭的な価値がないと言っている訳ではない。また投資にはならないという事を言っている訳ではない。現実的に深澤雄太作品の中でも当時購入した作品価格以上に作品の売約が決まった(セカンダリー)市場の実績も幾つもある。
しかし、投資目的で買うアートファンというのは、投資見込みにならないとすぐに作品を売ってしまいバブルで膨れ上がった市場がまた萎んでいまう事が今回の事で多くの人が感じた事だと思う。
なので、そもそも若手作家の作品は投資目的で買うものではなく、新たな才能の文化を育むことや、文化への貢献の意義をもって若手作家の作品を購入する「寄付」によって個展やイベント資金が賄われる考えである必要であると提示したい。
今後の日本のアート文化の行き先は、今新しい考え方を持ったアートファンの行動力にかかっている。多くのギャラリーは、無償で作品鑑賞の機会を提供しているがこれは決して慈善事業ではなく、新たな才能を発掘し日本が誇れる文化を育むためのビジネスである。
また展覧会の開催やギャラリーの存続、アーティストが作品を作り続ける為の環境をつくる為には、個々の業界の手だけでつくられるのではなくて、アートファンの熱量や作品購入によって共に作り上げていく意識でなければならない。
