この仕事をしていると、セカンダリー作品が度々登場します。マイナスに捉えれば作品を手放すという事は、もうその人にとって「宝物」ではなくなってしまったということです。しかし、プラスに捉えれば次の所有者に渡ることで、2018年のもうその時にしか描けない作品が手に入るチャンスということになります。また作品が循環することで価格がより定着することに繋がるのです。


もうこういったことは何回も経験しているし、最初は正直悲しさがありました。だけど、今は何とも思わないようになりました。寧ろ、新たなファンの手に届くかもしれないこと。次を繋いでくれる人がまた作品を大切にしてくれてその人の「宝物」になるかもしれないこと。として、プラスに捉えてます。ていうか、もうセカンダリーは私には関係ない話であり、プライマリの時点でもう私との売買は終了している話なのです。


それでも、こういったブログを書いてしまうのはセカンダリーで作品に買い手がついて欲しいからです。なぜなら、作品は見るものでもあり、投資的な側面も持つことを私は知っているからです。売りたい人は、もしかしたら今お金が必要になったのかもしれない。そういうことを考えると、売りたい時に売れないものというのはあまりにも無責任な話であるかのようにも思うのです。でも、中にはもう作品自体に価値を感じてくれていて、もう作品の価値だけで十分だよ。と、言ってくださる人も中にはいます。セカンダリーは凄くセンシティブな話として捉えがちだけど、それは日本のアートマーケット市場が非常に狭いからであり、アートマーケットの脆弱さを私達は恐れているからです。


そこに恐れていては、アーティストは次に前へ進めなくなってしまいます。アーティストは、今心の底から表現したい事を描く・つくることがお仕事です。それを世間と繋げてくれる存在がギャラリーであり、作品を売るのがギャラリーの主なお仕事として私は捉えております。その各役割の中で、お互い日々精進して努力することこそが、アートマーケットの拡大の一歩に繋がることを私は信じています。だから、例え私にとって1円の収入にもならなかったとしても私は責任を持って過去作を推します!よろしくお願い申し上げます!