越境物の交渉は調査士の業務ではない | 土地家屋調査士法人ユタカ登記測量事務所

土地家屋調査士法人ユタカ登記測量事務所

Land and House Investigator,Yutaka Takanashi 's Office,Since 2011.2.1

平気で調査士の業務と関係ない事要求してくる輩がいるけど、今後はふざけた輩には容赦しませんよ?

 

 

名指ししたいけど問題になるからやめておきます。品位?関係ありません。

 

「自分が対象者と話したくないからと、私に交渉押しつけるのやめろ」という話。
かえって余計な揉め事増やすだけだという事にいい加減気づけ
だいたい、その対象者と信頼関係築けないのはてめぇの問題だろうが。

 

私は交渉、折衝能力があるとは思ってませんし、むしろ人より明らかに劣ってると思ってます。それは自覚してますから。
しかし、境界確定業務の時に、厄介な隣人がいる時は、その人との信頼関係築くのが先でしょう。
どうしようもない時はともかく、そうでないなら、誠意を持ってあたるべきだと思います。
 
過去にこういう事がありました。
宮城県亘理町の土地について境界確定業務を依頼されました。依頼者は「裏にある空き地の所有者からはたぶん承諾もらえないと思うけど、もらえなければそれで構わない」という事を言われました。同じ依頼者が管理する土地は、私が担当する物件の2軒隣にもあり、その物件も裏の空き地と接していました。そちらは別の調査士に依頼していたそうなのですけど、その調査士も裏の空き地の所有者からは境界承諾が得られなかったと言っていました。
 
私が担当した土地も、その2軒隣の土地も、元々別の不動産屋さんが扱っていた土地で、その不動産屋さんが普段依頼している調査士に依頼したのだそうですけど、裏の空き地の所有者から境界承諾もらえなかったために、その土地建物を取り扱うのを諦めた、という話だったのです。それで元の所有者は今回の依頼者へ話をしたという事だったのでした。
 
それで私は、裏の空き地の所有者宅を訪ねたのですけど、いきなり怒られました。
しかし私の名刺を見てわざわざ山形から来ている事や、前の時の調査士やその後それまで来た調査士とは無関係だという事を知ると「あなたは山形から来てるんだな。わかった。毎回山形から来るの大変だろうから資料があるなら送ってくれ。それを見てから判断する」と言われたのでした。
それで法務局で取得してきた資料と説明文までつけて送った結果、それまで威圧的だった裏の空き地の所有者はすっかりフレンドリーになりました。
聞けば最初に来た調査士は、立会の時間に遅刻してきただけでなく、酒飲んできた上、いきなり「ここに杭があるんだからここで認めろ」と一方的に言ってきたらしく、その後に来た別の調査士も資料も出さずに「ここだ」と言い張ってきたから、信用できなかったのだとの事でした。それで裏の空き地の所有者は「今まで来た調査士はそういうのばっかだったけど、あなたは違った。ちゃんと資料も提示した上でわかりやすく説明してくれたから安心できた。あなたなら信用できそうだから承諾します」となり、境界承諾が得られたのでした。
 
ようは、ちゃんとやるべき事をやってるのか、という話でしかないんですけどね。
 
----
で、昨年末に請けた仙台市某所の現場も、依頼者や仲介不動産屋から、厄介な隣人がいる話は聞かされていました。
その人の土地との境界に限って、境界標識がなかっただけでなく、ブロック塀が一部越境しているように見受けられたわけです。
依頼者も仲介不動産屋も、境界をはっきりさせてほしいと。
実際にその場所は法務局にある公図は「旧土地台帳附属地図」でしたし、地積測量図も昭和40年代のもので三斜求積によるもので辺長の記載もないから根拠の説明も難しい。
 
その隣の土地には家はあるものの人が住んでおらず、所有者は高齢で施設に入所されているとの事。
そのため、週に一度郵便物のチェックや掃除しにくる息子が実質的に管理している状態であり、その息子が事実上窓口という感じでしたが、その息子が癖のある人だったのわけです。私なりに境界について説明したのですけど、最初は私を信用していない様子で、細かい事にいちいち揚げ足取りをしてくるしで、厄介な人だなと思いました。
 
その時は、依頼者と仲介不動産屋も同席していました。
そのため、一度持ち帰り、法務局の資料や道路台帳等もこちらで取得したものを全て提示する事とし、息子もそれで了承したのでした。
その時に、ブロック塀が越境してると言っても、隣とは高低差があり(隣の方が低い)、何かするにあたっても影響のない場所だから、新しく買う人にはその旨を説明すれば良いだろう、という話をしました。
 

その翌日、仲介不動産屋は私がその息子と信頼関係築けてるとみるや否や、「新しく買う人がブロック塀について何か言ってくるような人だとまずいから」と言って、隣のブロック塀撤去に関する交渉まで私に押しつけてきたのでした。

私は「ふざけんな」と言いました。
土地家屋調査士は境界が何処なのかを示すだけであって、越境物に対してああしろこうしろというのは当事者同士の話
土地家屋調査士にそんな権限はそもそもないし、そんなのは間違っても土地家屋調査士の仕事ではありません
 
なんでそんな交渉まで私がしなければならないのかと。当事者でもない土地家屋調査士がそんな話しようものなら、余計な揉め事増やすだけだという事、誰が考えてもわかりますよね。
 
その仲介業者がそのブロック塀に関してその息子とやりとりはしていたようですけど、信頼関係築けなくて、話したくないから厄介事を押しつけたいだけにしか思えなかったので「そうやって私に厄介事を押しつけるのであれば一切の業務を中止して完全に降りる」とまで言ってやりました

 

 

その後、私は亘理町の時と同じように、その息子に資料を提示してその息子に対して説明を繰り返した結果、亘理町の時と同じように、変な雰囲気はなくなり、むしろフレンドリーになりました。そして「確かに法務局の資料や道路台帳には辺長が記載されていないから正確な位置は公的にはわからないけど、あなたの説明なら信用できそうだ」とまで言ってくれました。

しかし、その土地の権利をもっているのは、あくまで施設に入所しているお母さん。そのため息子がお母さんに説明して納得してくれたら境界承諾という所まで持って行けたのですけど、結局そのお母さんが承諾しなかったために不調という事で終わりました。
こうなっては、もうどうしようもないので、この案件はこれで終了という事で、依頼者に事情を説明し、納品しました。
 
ところが、その仲介不動産屋、今度は終わった後になって「なんで不調になったのか」と。それは図面とともに理由書もつけたわけで、それ読めばどんな馬鹿でもわかるでしょうし、それに依頼者からも詳細に説明は受けたでしょうに。

それだけでなく「図面あるからその図面の通りに位置で交渉できないか」等と言ってきやがった。終わってから「図面あるよ」なんて言われたって「何を今更。なんで最初に言わないのか」という話になります。

 
もっともその図面は昭和50年にその土地に家を建てた時の「建築敷地算定図」であり、全くあてにならないものでしたが。
それでもその仲介不動産屋は「参考にはなるでしょう」と言い張るので「境界確定測量やった上でのものならともかく建築敷地というのは適当にいい加減に決めてるものでしかないから、これほどあてにならないものはない」と突っぱねてやりました。
(実際に私が作成した図面と比較したところ、差異は1cmではありましたが根拠にはなり得ない)
 

法務局における登記所備付地図作成業務や国土調査においても、建築の図面を持ち出してきた事によって隣人同士が大喧嘩になって境界位置についての合意が得られず、結果「不調」=「筆界未定扱い」になってしまった例を私自身何度も見ています。

 
何より、いくらその息子を納得させられても、所有者である母親が納得しなかったから「不調」になったわけで、これ以上話をしても全く意味がなく、無駄でしかないわけです。
 
 
まあ、そういうふざけた不動産ですから、人との信頼関係なんか築けるわけがありません。
ホントロクなもんじゃない。
 
まあ信頼関係築けないのは自分の責任ですから、自分で責任取りましょう。