土地家屋調査士試験 | 土地家屋調査士法人ユタカ登記測量事務所

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今日は土地家屋調査士試験の合格発表。 合格された皆さんおめでとうございます。

 私も合格からちょうど20年ですけど、不合格だった年も合格した年も、皆さんと同じ気持ちでした。 試験には時の運というのもあります。不合格だった方も最後まで諦めないで今年の試験に向けて頑張ってください。

 

さて、口述試験ですけど、筆記に合格された方であれば過度に心配する必要はありません。 口述試験までの間が受験生生活の中でも一番「楽しい」時間です。筆記に合格された方へのご褒美であり特権なのですから、存分に楽しんで下さい。というか楽しまなきゃ損です。

ただ、土地家屋調査士法の第2条の条文だけは必ずきかれますから暗記しておきましょう。 それ以外は、意外と答えられるものです。 口述試験は「楽しんでくる」ぐらいの方が上手く行きます。 ちなみに私は2004年、現在の建物に建て替えられる前の仙台法務局で口述を受けてきました。

 

 

口述試験は「就職試験の面接だ」というつもりで臨みましょう。 そう、服装もちゃんと常識をわきまえないと駄目です。それで落とされる事はないと言っても、自分だけ浮いてるというのも精神衛生上よくありませんよね。 というわけで、試験会場にはスーツ着用で行きましょう。

ちなみに午前と午後とあるわけですが(どちらになるかは合格通知兼口述試験受験票に書いてある)、午前と午後ではきかれる事が「全く」違います。 その為、午後に受験する人が午前に受験した人から何をきかれたか確認してもまったく無駄です。 やめましょうw

試験会場に到着すると待合室に通されます。 それで、「くじ引き」で順番を決定します。 終わり次第帰れるので、順番が早い人の方が得ですw (ちなみに私は2番目だった) 

しかし、待合室の中では携帯電話は電源を切った上で鞄に入れるように指示されますし、私語厳禁です。ですから、テキストとか見ていたりする分には何も問題ないのですが、当然外部との連絡は一切できなくなります。 

 

自分の番になると係の人が呼びに来ます。そして「荷物を持って忘れ物がないか確認して下さい」と言われます。そして試験を行う部屋に案内されます。 試験が終わると「お疲れ様でした。ではこちらからお帰り下さい」となって終了。つまり、二度と待合室に戻る事はできません。 

他の会場も同様かと思います。

 

 

実際に「不動産受験新報」にも掲載され、日建学院でも使用されている私の受け答えを掲載致しますw
俺書いた記事だからいいよね?別にw

ちなみに私が答えたもの「そのままリアルに」書いてます。
尚、この当時は旧法だった為、新法に修正しています。



2004年度口述試験 仙台法務局 午前


試験官は2人おり、質問は左側の試験官から質問されました。

 

[不動産登記法編]

試験官:まず私の方から不動産登記法に関する質問をさせて頂きます。
私:はい。よろしくお願いします。
試験官:不動産の表示の登記に関する登記のうち、申請義務のある登記を挙げて下さい。
私:はい。土地、建物の表題登記、土地表題部変更登記、建物表題部変更登記、合体による建物の表題登記及び合体前の建物の表示登記の抹消といったものが挙げられます。
試験官:不動産の表示に関する登記というのは、大きく二つの種類に分けられると思いますが、今挙げたような登記は何と呼ばれているものですか?
私:はい。報告的登記と呼ばれています。
試験官:それは、どのような場合にしなければならないものですか?
私:はい。土地や建物に対して直接物理的な変更があった場合において、それを登記簿に反映させなければならない場合に行います。
試験官:それは誰に対して申請義務が課せられますか?
私:はい。表示の登記がされていないものはその所有者。されているものに関しましては表題部所有者または所有権の登記名義人に対して申請義務が課されます。
試験官:申請義務があるにもかかわらず、申請義務を怠った場合に罰則などはありますか?
私:はい。この場合は10万円以下の過料に処せられる事となっています。
試験官:では、地積測量図に関して質問します。地積測量図というのはどうして必要になるのですか?
私:(ちょっとここでとまどった)…はい。えー…っと、依頼者及び隣地所有者の立ち会いのもと、正しい境界にもとづいて正しい土地の形状及び地積を公示する為です。
試験官:なるほど。では境界点となりうるものにはどのようなものがありますか?
私:はい。永続性があり、容易に移設できないものである必要があります。例えば金属プレート、コンクリート杭など。またそのようなものがない場合は地積測量図に近くの恒久的地物との位置関係を図示する必要が出てきます。
試験官:では地積測量図を添付しなければならないのはどのような登記ですか?
私:はい。土地表題登記、土地地積更正登記、土地分筆登記、土地分合筆登記などが挙げられます
試験官:わかりました。では建物に関して質問します。建物に関して表示の登記がされていない建物で、建物表題登記を行う前に所有者が変わってしまった場合、誰に対して申請義務が課されますか?
私:はい。表示の登記がされていないのであれば、転得者である新所有者に対して申請義務があります。表示の登記がされているのであれば、表題部所有者または所有権の登記名義人に対して申請義務が課されます。ただし、これが区分建物の表示登記である場合は、あくまで原始取得者に申請義務が課されている為、旧所有者に申請義務が課されます。
試験官:では、「増築」という言葉がありますが、増築とは何でしょうか?
私:はい。物理的に既存の建物に対して新しく構造物を接続して建てた場合、または附属建物を新築した場合などです。
試験官:なるほど。不動産の表示に関する登記としてはどちらに分類されるものですか?
私:建物表題部変更登記です。
試験官:いえ、ですから、先程不動産の表示に関する登記は2種類に…
私:あ、すみません。報告的登記に分類されます。
試験官:はい。それではこの登記において必要になる添付書類を挙げて下さい。
私:建物図面、増築を行った建物に関する各階平面図、増築部分にかかる所有権証明書、そして代理人から申請を行う場合には代理権限証書、オンライン庁に指定されていない登記所に申請する場合は、従来の申請書副本にかえて申請書の写しが必要になりました。
試験官:はい結構です。では私からの質問を終了します。
 
[土地家屋調査士法編]

(ここで右側の試験官に交代する)

試験官:では、私の方から、土地家屋調査士法に関する質問を行います。
私:はい。よろしくお願いします。
試験官:土地家屋調査士法の目的について述べて下さい。
私:はい。調査士の業務において、正しく業務が行えるように…だったと思いますが…すみません勉強不足でした。
試験官:(苦笑いして)ほら、調査士ってどうして必要なんですか?
私:あ、はい。不動産に係る国民の権利の保全が必要です。すみません。
試験官:では、調査士の業務について述べて下さい。
私:はい。不動産の表示に関する登記について、必要な土地や建物の測量、調査。そしてその申請業務の代行、審査請求の代行です。
試験官:では、懲戒処分にはどのようなものがありますか?
私:戒告、2年以内の業務の停止、あと1つ…出かかっているのですがちょっと思い出せません。
試験官:3つあるんですか?
私:はい。3つあったと記憶しています。
試験官:あと1つ、業務の禁止ね。
私:あ、はい。業務の禁止でした。
試験官:あなたが調査士として業務を行う上での心構えを述べて下さい。
私:はい。常に品位を保持し、業務に関する法令・実務に精通し、公正かつ誠実に業務を行わなければならないとされています。
試験官:法の条文ではそうなっていますが、それは具体的にどのような事ですか?
私:え?どのような事といいますと…
試験官:公正かつ誠実というのは、あなたなら調査士としてどのように業務を進めますか?
私:はい。もちろん依頼者の権利の保全というのは大切な事ですが、例えば依頼者の思い通りにならなくても法的な知識にもとづき、「このようになる」というふうに納得していただく、そのような事だと思います。
試験官:ふむふむ。では補助者に対する責任というのはどのようなものですか?
私:補助者は常に調査士の管理のもと、勝手なことをしないように、たとえば勝手に測量したり、勝手に申請業務を行ったりしないように、常に調査士の管理の上で業務を行わせなければなりません。
試験官:はい。では質問は以上です。お疲れ様でした。
私:ありがとうございました。


という感じで進みます。不動産登記法編は意外と答えられるものですけど、筆記で1問しか出ない土地家屋調査士法については筆記試験のために過去問ぐらいしか触れてないというのもあって結構きついかも。しかし口述では全面的にメインになってくるわけですからね。