日産サクラ、1年経過 | ゆたか農園のブログ

ゆたか農園のブログ

新規就農した夫婦のブログです。「ゆたか」は妻、夫、息子の名前の頭文字を1文字ずつ取って名付けました。「ゆたか」にはrich、wealthy、fertileといった意味だけでなく、家族3人で力を合わせて頑張ろうという想いが込められています。

朝からすごい雨と風です。次の雨の日には農園の小さなビニールハウスの中でポポーの接ぎ木をしようと思っていたのですが、これではポポーの穂木を切りに行っている間にびしょ濡れになってしまいます。先日のようにブルッとなって高熱を出すのはもうコリゴリですから、今日はお休みで事務作業です。今は確定申告くらいですけど、新規就農した頃は新規就農の手続きの書類、それまでヤミで借りていた畑を正式にお借りするための農地法3条の書類、そして「青年就農給付金(現・農業次世代人材投資資金)」の受給を申請するための書類と、その他に税務署への開業届など、必要な書類が3つも4つも重なってしまい、百姓の仕事は書類を書くことなのかと思ったほどです。

 

と事務作業の前に、朝イチでブルーベリー苗の出荷のためにクロネコさんまで。雨なのでカミさんのクルマを借ります。日産のEVの軽自動車である「サクラ」を買って1年ちょっとが過ぎました。私もたまに運転しまけど、今のところ問題なく走れています。西尾市内でも最近は色違いのサクラを何台か見かけるようになってきました。よく売れているらしいですね。

1万キロを超えましたが、そもそもEVのサクラにはエンジンがないのでエンジンオイルの交換は不要です。

 

普通の軽自動車には加速度の制限があるそうですが、EVは関係なくてECOモードでも加速は良いです。普段は軽トラだから余計にそう感じます。エンジンブレーキと同じような働きをする「e-Pedal」という回生ブレーキの機能は、ブレーキの効きが良すぎて普段はオフにしています。だからアクセルから足を離しても惰性でスーッと走り続けます。感覚が違うのでガソリン車を運転する時以上に車間距離を空けるように気を付けています。

 

サービスエリアや道の駅などの充電スポットを利用するためのカードをまだ作っていませんので、これまで充電はすべて自宅のケーブルです。タイマーで安い深夜電力のみの充電に設定しているせいか、サクラを買う前と比べて電気代が跳ね上がったという感じはありません。実際には充電した分、電気を使っているのでしょうが、ガソリン代と比べたら微々たるものです。でもカタログ上は満電で走行距離180キロ、加減速などにより実際は130キロほどのサクラです。充電カードがあれば遠出も可能でしょうが、ないと厳しいです。もし「電欠」になったらレッカー車を呼ぶしかありません。渋滞するリスクなどを考えると、出かけられるのは往復100キロくらいまでの範囲です。西尾市からだと西は名古屋市まで、東は浜松市内まで行けるかどうかといったところです。ちなみに今までサクラで最も遠くに行ったのは、フェイジョアの配達に行った豊田市のケーキ屋さんです。近所のスーパーへ買い物へや子どもの習い事の送り迎えなど、セカンドカーとしては非常に優秀な軽自動車だと思います。でもメインカーとして使うなら、1回の充電で300キロくらいの走行距離が欲しいですね。まぁ、バッテリー開発は各社がしのぎを削り日進月歩で進化していますから、よりコンパクトに、そしてより大容量になる日もそう遠くないことでしょう。

 

国からの55万円と西尾市からの5万円の補助金も無事に振り込まれましたし、定期メンテナンスなどの日産のアフターサービスにも満足しています。財政が火の車の政府ですから、いつまでもガソリンに補助金を出せないでしょう。いくら車両価格が高いといっても、このままガソリン価格が高止まりするようでしたら、セカンドカーとしてはお薦めできるクルマです。

 

次は私の軽トラもEVにしようかと、以前は三菱の軽トラでEVがあったようですが、今はもう生産中止になっています。軽トラこそ遠くに行くことはありませんし、私は急こう配の悪路を上ることもありません。EVの軽トラも選択肢の1つかなと思い始めていたので残念です。

 

 

話は変わりますけど、私が情報交換させていただいている海外の農家さんから「フェイジョアについてスゲー詳しく書いたる。役に立つもんでこれ読んでみりん」(もちろん実際は三河弁ではありません)と、またフェイジョアの論文が届きました。前回の論文は表紙と参考文献の一覧を含めて15ページほどでしたので論文というよりレポートに近かったですが、今回のは200ページを超える大作です。

 


私たちがお付き合いさせていただいている関西の農家Uさんは有名国立大学の大学院で植物の研究をされていた経歴をお持ちですが、この海外の農家さんもその国の一流大学を卒業しておられるようで、とても優秀で勉強熱心な方です。「情報交換」というよりも私が教えてもらってばかりの状態です。ただ今回の論文、どうやらポルトガル語(もしかしたらスペイン語かも?)なんですよね。英語の論文なら私もかつて読んでいましたのでなんとかなるのですが、さすがにポルトガル語は「オラ!(こんにちは)」と「オブリガード!(ありがとう)」、あと「チンチ~ン!(乾杯!)」くらいしか知りません(笑)。でもポルトガル語も英語も遡れば同じラテン語が起源のはずです。「propagação」なんてのは英語の「propagation(増殖)」でしょうし、「introdução」は「introduction(序論)」、「referências」は「reference(参照)」などと、英語に似た単語もあります。とはいえ、その程度のことでポルトガル語の論文が読めるはずもありませんから、なんとかgoogle先生に翻訳してもらって解読を進めます。

 

単なる観察と研究ではぜんぜん違いますし、ネットで調べるくらいの研究なら今どきの小学生の自由研究でもしています。もっとも、情報を検索する技術なら昭和世代の私たちよりも今どきの小学生の方が上かもしれません。私がフェイジョアの栽培を始めて今年で15年になりますが、たった15年とも言えます。フェイジョアについてほとんど情報がない中で、なんとか手探りで栽培してきましたが、まだ分からないことだらけです。植物の専門家であるUさんはもちろん、私たちも分野は違いますけどいちおう大学院で研究した経験がありますので(入院が長引いてしまいましたがw)、Uさんと協力してフェイジョアについてもっと深く掘り下げ、経験や勘だけに頼るのではなく学術的なエビデンスに基づいた栽培をしていきたいと思っています。農業もれっきとした科学です。

 

ちょうど半年前のブログでも書きましたが、フェイジョア栽培をするうえで深刻な問題を抱えており、Uさんと一緒に原因究明を目指しています。現在2つの仮説を立てていて、その1つを確かめるためにもう少ししたらフェイジョア畑でUさんから教えていただいたある物を使って検証を始めます。これを使うのは一部の畑だけです。使った畑と使わない畑で比較をするためです。また大変に高価な物であるため、予算的にたくさん買うことができないという理由もあります。

すみません、まだ私たちの仮説レベルで間違っている可能性も十分にありますので、現段階で公開はしません。もちろん農薬だとか畑で使うことが禁止されているような危険な物ではありません。何か明らかにできたらまたブログに書きます。

 

Uさんは単にフェイジョアを生産・販売するだけでなく、自身の圃場で研究も行い、それをいずれ論文にまとめたいという目標があるようです。残念ながら日本ではまだフェイジョアの研究と呼べるような研究はされていません。フェイジョアの原産地である南米と日本では当然のことながら環境が違います。環境が違えば栽培方法も変わります。畑をお借りしてまだブルーベリーの植え付けをしていたころ、近くのベテラン柿農家さんから言われたことがあります。植えたらそこが木にとっての家になる。木は喉が渇いても自分で水を飲みに行けないし、暑いからといって日陰に移動することもできない。木が快適だと思う環境を整えてやれば、あとは木が勝手に育ってくれると。まさにそれが私たち百姓の仕事です。おそらく今の日本の夏は南米の夏よりも暑いでしょうし(逆に冬は南米より寒いでしょう)。梅雨や台風も来ますし、土質だって違うはずです。だから南米などの栽培方法をそっくりそのままマネても上手く育たないことだってあり得ます。フェイジョアにとって異国の地である日本の環境で、フェイジョア栽培にとって何がプラスなのか、その辺りをUさんと探っていきたいですね。私たちとしてはお若いUさんにはぜひ日本で最初のフェイジョア研究者、そしていつの日か「日本のフェイジョアの父」と呼ばれるような大きな存在になっていただきたいと思っています。